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記事2007年9月23日 2077号 (1面) 
文科省、新規に50億円予算要求
戦略的な 大学連携 支援
地域振興へ国公私立大の壁を超えて
教育研究設備の共用促進 先進的プログラム開発、連合大学院も
文部科学省は近年、国公私立大学の垣根を超えて優れた教育改革・研究拠点形成事業等を重点的に支援しているが、平成二十年度については前年度予算額(約五百八十二億円)の二倍近い約一千二十四億円に上る支援事業を展開する方針。現在、財政当局に予算を要求している。特に、来年度は、従来からの「大学教育改革事業」、「世界最高水準の卓越した教育研究拠点形成と大学院教育の抜本的強化事業」に加え、新たに「地域振興の核となる大学の構築事業」への支援を創設する。

 このうち新規の地域振興の核となる大学の構築事業は、各大学の教育研究資源を活用した、大学間の連携強化により個性・特色ある取り組みを支援し、地方の大学教育の一層の充実を図るもので、予算要求額は五十億円。「戦略的大学連携支援事業」と銘打たれたこの事業は、国公私立という設置者の違いを超えて行われる戦略的連携を支援するもの。具体的には、▽IT等を活用した教育研究設備のネットワーク構築(教育研究設備の新規整備と共用促進)▽共通・専門教育の先進的なプログラム開発(複数大学の共同による学位授与、連合大学院等)▽効率的・効果的な大学運営(事務局機能の強化)▽教育研究資源の結集による知の拠点としての機能強化(産学官連携、豊富な生涯学習教育の提供、国際交流等)といった連携が考えられている。この事業には多くの私立大学の参画が期待されている。
 一方、「大学教育改革の支援事業」は、知的基盤社会を担う、優れた人材養成のため、国公私立大学を通じた競争原理に基づいて、特色ある優れた教育の取り組みを選定・支援するもの。このうち新規事業は、これまでの「特色GP」と「現代GP」を統合して創設する「質の高い大学教育推進プログラム」(予算要求額約百七十三億円)で、学士課程教育の質向上に向けた優れた取り組みを積極的に支援する。この事業は、私立大学教育の充実に直結する事業。
 このほか大学教育改革では、「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」(平成二十年度予算要求額五十四億円、前年度の約三倍)、「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」(同約三十億九千万円、約一・九倍)、「大学教育の国際化加速プログラム」(同約六十五億六千万円、約五・七倍)、「専門職大学院等における高度専門職業人養成教育推進プログラム」(同約二十二億八千万円、約一・七倍)、「産学連携による実践型人材育成事業」(同九億九百万円、約一・七倍)、「先進的ITスペシャリスト育成推進プログラム」(同九億四千八百万円、約一・二倍)の支援事業を要求している。このうち国際化加速プログラムでは、「国際共同・連携支援」が新規事業。各大学の国際化戦略に基づき単位互換やダブル・ディグリーなどの相互連携、英語による授業などを総合的・体系的に行う取り組みを支援する。要求額は四十四億八千五百万円。
 もう一つの教育研究拠点形成、大学院教育の抜本的強化では、「グローバルCOEプログラム」(同約四百七十億円、約三倍)、「大学院教育改革支援プログラム」(同約八十五億九千七百万円、約二・五倍)、「二十一世紀COEプログラム」(同約四十六億三千万円、約五分の一)を要求している。
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