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記事2008年10月3日 2111号 (2面) 
高校看護教育検討会 看護高専の長短検討
高校専攻科法的位置付け明確化必要
看護高専独自基準求める意見も
文部科学省の「高等学校の看護教育に関する検討会」の第四回会合が九月三十日、都内で開かれ、これまでの審議内容をまとめた骨子案「高等学校の看護教育をめぐる課題と解決方策」が初めて委員に提示され、骨子案について審議が行われた。特に五年一貫(高校三年+専攻科二年)看護師養成課程の高専化や卒業後の大学への編入学実現の問題への委員の関心は強く、二年間の高校専攻科(大半の生徒が看護科)の法制度上の位置づけが曖昧で、大学への編入学が認められている専門学校と比べても、置き去りにされてきたとの認識の委員が複数みられた。
 文部科学省も高校専攻科の法制度の位置づけについては見直しが必要としており、分野(看護など)を限って高校の修業年限を五年にするなどさまざまな可能性が説明された。与党教育再生に関する検討会が専門高校の五年制化の方針を打ち出したことも同省の前向き姿勢を後押ししている。
 またこの日は看護高校の高専化のメリット、デメリットも提示された。メリットとしては、高度な知識・技術の習得を求める生徒への対応が可能、準学士の称号付与による一定の社会的評価の獲得、大学編入学による高等教育への円滑な接続、卒業生の安定した就職(高専への企業の求人倍率は約二〇倍、平成十八年度)が指摘された。一方、デメリットには、教授・准教授の資格要件や教員配置にかかる負担の増大、施設・設備にかかる整備費用負担の増大などを挙げており、特に私立では、財政負担増が大きな問題としている。また後期中等教育における専門教育に関して同省は今後もっと大きな議論になる、高校、専修学校、高専の再整理が行われる可能性も示唆している。高専化に関しては、委員から当面、高専に準じる設置基準で、「専攻士」の称号を与えてはどうか、といった提案や、看護高専の基準を新たに作るなどもっと移行しやすい道を考えた方がいい、高専化のデメッリトをそんなに心配する必要はないといった意見などが聞かれた。文部科学省も提示したメリット、デメリットは現在の航空、商船分野の高専を基にしたものであることを明らかにしている。財政負担増は私学にとっては重大な問題だが、公立の五年一貫課程が先行して高専化する可能性を示唆する委員も見られた。
 この日の会議では報告書の取りまとめのために、委員の高橋真理・北里大学看護学部長を座長代理にすることが提案され、了承された。このほか、前回、委員から要求のあった調査データ等が説明された。その中で全国看護高等学校長協会が今年七月から八月にかけて看護師五年一貫課程と看護師二年課程の生徒を対象に実施した意向調査の結果(別掲)について佐藤仁作同協会理事長が五年一貫課程卒業後、大学編入学を希望する生徒が一五・四%いたこと、編入学問題が封印されてきた中では高い数字だとの考えを示すとともに、高度な看護学の学習希望が強いことも分かった、と説明した。次回は今月下旬から来月上旬の予定。
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