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記事2008年12月3日 2118号 (1面) 
中央教育審議会の審議動向
設置認可・設置基準改善の検討の方向性を了承
基準明確化に向けて専門的検討へ
【大学分科会】
 中央教育審議会大学分科会(分科会長=安西祐一郎・慶應義塾長)の委員懇談会が十一月二十六日、文部科学省で開かれ、設置認可・設置基準の改善問題が審議された。出席した委員数が規定数に足りず懇談会となった。
 設置認可・設置基準の現状については、前回(十月二十九日)の大学分科会で、納谷廣美・大学設置分科会長代理(明治大学長)が問題点等を報告したが、懇談会では設置分科会の報告、その後の大学分科会での審議を基に文科省が整理した課題と検討の方向性例が提示された(別表参照)。
 その文書では初めに質保証システムの一層の整備が必要で、公的な質保証制度としては、最低基準を定める設置基準、最低基準担保のための設置認可、設置後の確認のための認証評価、大学の活動を支える公財政支援の四点を一体的に運用していく公的な質保証の仕組みについて検討する必要性があるとの共通理解があった、と指摘。今後も国際的な視点も踏まえつつ審議を続ける必要があるとしている。
 設置基準・設置認可の課題に関しては、具体的には、基準性に乏しい独立大学院(大学院大学)の審査要件、不十分な審査期間、当初想定していなかった届出設置の出現などが提示されているが、このうち独立大学院に関しては、通常、大学には学部があるため基準にあった校地や校舎があり、大学院独自の基準がなくても、大学院としての機能・広さが確保できていると判断されたが、独立大学院に関しては学部がないにもかかわらず、施設基準は、「教育研究上の必要に応じた十分な規模の校舎等の施設を有するものとする」との基準性に乏しい規定しかないため、当初の想定外の大学院大学が誕生している、との認識だ。
 また学部等を新設で、専任教員基準数の半数以上が既設学部等に所属していた教員で構成される場合、認可申請ではなく、届け出だけで設置が認められるが、学内から広く教員を集め学内になかった新分野の想定外の学部設置例がみられる問題等が指摘されている。
 こうした課題認識と検討の方向性について委員から大きな異論はなく、安西分科会長は、「昔に戻って規制強化かという声はあるが、きちんとすべきところはきちんとすべきだ、という論調」と語り、今後は大学設置分科会の協力を得て、大学分科会のワーキンググループで専門的に検討していく意向を明らかにした。
 このほか委員懇談会では学位プログラムに関して委員間で共通理解を得るため舘昭・桜美林大学教授から米国の学位プログラムの概要に関する説明を受けたが、日米では大学制度が異なるため、委員の中には「理解できない」とする委員もみられた。
 また「日本では奇をてらって安易に学位プログラムが作られる恐れがある」「日本もきちんとしていかないと日本の大学は国際的に信用されなくなる」「国際的に通用する教育が大事」などの意見が出されたほか、安西分科会長は、「質の担保・向上が大事。それが崩れたら(学位プログラムへの移行は)意味がない」と語った。
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