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記事2008年5月3日 2098号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
留学生の戦略的獲得策など討議
ASEAN・中東アフリカ諸国から積極的に受け入れ
【大学分科会留学生特別委員会】
 中央教育審議会大学分科会の留学生特別委員会(座長=木村孟・大学評価・学位授与機構長)は四月二十五日に東京・霞ヶ関の文部科学省庁舎内で第五回会合を開き、五月中に取りまとめる留学生三十万人計画の骨子について議論を進めた。
 骨子のフレームワークとなる「『留学生三十万人計画』の骨子取りまとめの考え方」を前回会合までの議論でまとめ、今回以降はそれに基づく具体的方策の検討に移った。この日の会合では優れた資質を有する留学生の戦略的獲得に関する方策が取り上げられた。
 事務局から用意されたたたき台では、(1)基本的考え方としては、送り出し国や留学生のニーズを勘案しつつ、わが国の高等教育水準の向上への有効性を考慮する、(2)対象としては、わが国への留学生が最も多い東アジア諸国との交流を引き続き推進し、ASEAN諸国・中東アフリカ諸国等については将来のリーダー層との人的ネットワーク構築の観点から積極的に受け入れの増大を図る、欧米先進諸国との間では、特に科学技術研究の国際競争激化への対応のため、大学院への留学生の受け入れをさらに増加させる、(3)二〇二〇年頃に三十万人を目指すことを所与の目標とするが、国・地域ごとの数値目標は送り出し国や留学生のニーズは一様でないため、引き続き検討を必要とする。
 また(4)日本留学に関する留学フェアや留学説明会などの情報発信機能をいっそう充実強化させるほか、日本学生支援機構や日本学術振興会などの海外拠点の活用連携を図る、(5)交換留学の基礎となる大学間交流協定を積極的に活用するほか、単位互換やダブルディグリーなどによる共同・連携が必要である、(6)大学等だけでなく、国レベルでも留学情報の発信、大学等との連携による留学生の獲得、留学専門機関の整備が必要である、(7)日本留学予備軍となる海外での日本語学習者を増やすため、日本語普及、日本語教育充実を推進する、(8)留学生の積極的な獲得は外交戦略との連携が不可欠であり、国費外国人留学生制度の戦略機動枠の積極的かつ柔軟な活用が重要である、などが盛り込まれた。
 委員からは、留学生を国費と私費に分ける場合に私費の中には相手国の公費負担によるものが含まれることに注意しなければならない、国によっては観光行政の中で留学生政策が扱われているところもあり、わが国でも観光を所掌する国土交通省と連携する方策も考えられるのではないか、などの意見が出た。
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