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記事2008年5月3日 2098号 (2面) 
新分野への展開見据えて
専門高校と専攻科 5年一貫教育の現状等聴取
【大学分科会高等専門学校特別委員会】
 高等専門学校の制度および教育の在り方について調査審議を行っている中央教育審議会大学分科会の高等専門学校特別委員会(座長=木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長)は、第九回の会議を四月二十三日、東京・霞ヶ関の文部科学省で開催した。
 今回の主な議題は「高等専門学校教育の充実について」として、(1)新分野の展開について、(2)地方公共団体の取り組みについて、(3)留学生の受け入れについて、意見が交わされた。
 まず専門高校の新たな取り組み事例の一つとして、山形県立米沢工業高等学校の佐藤義雄校長が「専門高校の新たな取り組み事例について」説明を行った。同校では、地元の産業界からの強い要請を受けて、平成十五年度から一または二年課程の専攻科「生産情報科」を設置、企業・大学・研究機関等と連携を図りながら、地域産業を担う実践的なものづくり人材の育成を図っているとし、専攻科の課程を接続することで創造開発力を実務的なレベルに育成することができるようになったと紹介した。
 次に、神戸市立工業高等専門学校の黒田勝彦校長が「神戸高専の現況と公立高専設置の可能性」について説明した。公立・私立の高専設置が進まない理由として(1)高専進学者が増えないこと、(2)大規模な実習工場が必要なこと等を挙げ、設置促進のためには、高専教育システムの改変が必要で、従来の大卒の知識・想像力+手足を動かせる能力を併せ持つニュー・ミドル・エンジニアを養成すべきだと提言。例えば学科の新設の例としては、医療機械工学科や医療情報工学科、工業デザイン学科やアニメーション学科、工業教員養成科を、現行制度のままでは美術高専、音楽高専も考えられると述べた。
 文部科学省からは、専門高校の現状と、留学生特別委員会の留学生三十万人計画の審議の概要について説明が行われた。
 これらに対し委員から、今後の高専の分野として、日本の医療機器は世界的にレベルが高い、この分野の技術者を育てるべきではないか、また高専の運営資金はグローバル企業などから集めてはどうか、などの意見が上がった。留学生の受け入れについては、学位の得られない高専にはなかなか難しいのではないか、などの意見があった。
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