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記事2008年6月13日 2101号 (1面) 
中教審認証評価特別委が初会合
認証評価3団体から課題等聴取
総合大学では広く浅い評価に
 中央教育審議会大学分科会によって三月に設置が決定されていた認証評価特別委員会は十八人の委員により発足し、五月三十日に、東京・霞が関の文部科学省で初会合を開催した。この日の会合では座長に長田豊臣・学校法人立命館理事長を選び、座長代理に森脇道子・自由が丘産能短期大学長を指名した。また独立行政法人大学評価・学位授与機構、財団法人日本高等教育評価機構、財団法人大学基準協会の三団体から、評価の実施状況についてヒアリングを実施した。
 独立行政法人大学評価・学位授与機構からは、荻上紘一教授らが出席し、認証評価に際しては、評価に際しての観点が当初多すぎたため整理統合したこと、例示が事実上の圧力になる可能性があったため見直したこと、今後さらに改善が望ましい点としては、評価力を備えたピアの育成が必要であること、評価自体が業績として評価されることが必要であること、評価のコストパフォーマンスを高めることを挙げ、単科大学では分野別の詳細な評価になるのに対して、総合大学では広く浅い評価となり、個別の分野に対し目が届きにくいことを挙げた。
 財団法人日本高等教育評価機構からは佐藤登志郎理事長(北里大学名誉教授)らが出席して、問題点・課題として、評価員のレベルアップと社会的ステータスの向上、評価プロセスと評価結果の活用、評価を受ける大学の意識改革、大学が作成する自己評価報告書の質の向上、大学・評価員・事務局の負担軽減、年度ごとの申請大学数の偏りによる事務局体制の維持等を挙げ、さらに認証評価制度を充実させるための検討課題として、認証評価機関に対する国の支援、機関別評価と分野別評価との調整、大学設置基準と認証機関が制定する評価基準との調整、複数の認証評価機関を調整する機関の検討などが挙げられた。
 財団法人大学基準協会からは鈴木典比古大学評価委員長(国際基督教大学長)らが出席し、問題点や課題として、自己点検・評価が必ずしも改善に結びつかず法的義務を果たすという点に力点が置かれていた嫌いがある、評価者研修を充実させるとともに評価者の行った評価を評価者のキャリアアップにつなげていく必要性がある、現在の評価結果公表方法は大学への改善支援に力点が置かれており、今後は社会に対する質の保証という観点からの評価を検討する必要がある、機関別認証評価と専門職大学院認証評価とが併行して行われていることに伴い生ずる問題を明確にしていく必要がある、学習成果を重視する傾向が強まっているがこれを評価システムの中でどのように位置づけていくかの検討と、大学の行う自己点検・評価への財政支援の充実が必要とした。
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