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記事2008年6月3日 2100号 (1面) 
ユニセフ 初の「アフリカ子供白書」発表
母子生存に教育が重要な鍵
食糧価格高騰の影響懸念
国連児童基金(ユニセフ)は、第四回アフリカ開発会議が開幕した五月二十八日、横浜市内のホテルで、記者会見を開き、「アフリカ子供白書2008――子どもの生存」を発表した。記者会見にはアフリカ連合議長のタンザニアのジョカヤ・キクウェテ大統領、リベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領、日本の小野寺五典外務副大臣、オビアゲリ・エゼクウェシリ世界銀行副総裁、ユニセフ親善大使のユッスン・ドュール氏(歌手)、アン・ベネマン・ユニセフ事務局長が出席、北アフリカなどの地域では飛躍的に子供の死亡率の改善や女子の中等教育への進学率の向上などが見られるものの、依然、紛争地域やHIV感染が広がっている地域では、子供の死亡率は高いレベルで推移していることなどが報告された。特に近年の食糧価格の高騰が、WFP(国連食糧計画)の「学校給食プログラム」(給食は出席率向上や栄養状況改善に貢献)に打撃を与えており、就学率の低下などが懸念されている。ユニセフでも現在、世界銀行、WHO(世界保健機関)、WFPと連携して二歳以下の子供の栄養状況に対する影響を調査している。リベリアも飛躍的に就学率を改善した国だが、サーリーフ大統領も食糧価格高騰による就学率の低下への懸念を表明。また小野寺外務副大臣も六、七月に学校が再開してどれだけ給食ができるのか、我が国としてモニタリングして、コメの支援をしていく考えを表明した。食糧価格の高騰でアフリカの平和や民主主義の不安定化を懸念する声(ユッスン・ドュール氏)も聞かれた。
 ユニセフのアン・ベネマン事務局長は、タンザニアでは初等教育で九七・三%の普及率を実現、中等教育への進学も九万人台から四十五万人台に増えるなどの目を見張る成果を報告する一方で、女子の中学校進学を実現していかないと、村に戻った彼女たちは結婚するしかなく子供が子供を産むというリスクに直面すること、中学校の進学が健康面でも重要となっている点などを説明。また「アフリカの子供たちに先進国と同等の健康を保障しないといけない。産まれたときから栄養失調で、産まれたときから重荷を背負っている。母親の健康があってこそ子供の健康で、アフリカの女性の一割は産前ケアを全く受けていない」などと現状を紹介した。
 アフリカへは様々な支援が行われているが、サーリーフ大統領は、どういう支援を望んでいるのかとの記者の質問に、「アフリカの天然資源を正しい価格で取り引きできれば、我々は所得を得られる。そのためには民間からの投資が必要で、そのためには安全を担保すること、人権、政治、透明性を確保することが必要」とし、自力発展への強い意思を感じさせる会見となった。アフリカ子供白書は豊富な写真と図表でアフリカの各国の現状が紹介されている。財団法人日本ユニセフ協会のホームページからダウンロードできる。

ユニセフの日本語版「アフリカ子供白書2008」

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