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記事2009年12月13日 2156号 (2面) 
OECDのシュライヒャー教育局指標分析課長が来日
OECDの提言を説明 文科省の政策会議にも出席
若年層の労働市場への参入困難に
奨学金制度見直して教育機会拡大必要

 経済協力開発機構(OECD)はわが国の将来にとって重要な九分野に関する提言を先に発表したが、このほど、OECDのアンドレア・シュライヒャー・教育局指標分析課長が来日し、「提言」のうち教育分野に関するプレス説明会が十二月二日、都内で開かれた。
 同氏は、日本の学校教育システムについて、高い学習効果、公平な学習機会など世界で最も成功しているシステムの一つだが、かつてない迅速な変化等への対応や、児童生徒のやる気、興味、積極的な関わりの姿勢の育成などが課題と指摘。
 また高等教育に関しては、現在の経済的環境では若年層の労働市場への参入はますます困難になり、低い資格の若者の失業期間は長期化することなどから、教育への参加を更に増やしていくことが必要で、高額な授業料が教育への参加拡大を制限している日本のようなシステムでは追加的公的支出が必要と強調した。
 しかし、卒業後に所得に応じて返済するローンを認め、世帯収入に応じた給付型奨学金を拡大することで、高等教育へのアクセスを回復できるとの見通しを明らかにした。現在の給付型奨学金の金額と条件は大学の裁量に委ねられているが、給付型奨学金が学生の経済的必要性に基づいて提供されるよう、全教育機関を対象にルールの改正の必要性も指摘した。
 同氏は十一月二十七日、文部科学省の政策会議臨時会に招かれ、「国際比較で明らかになる日本の教育の特徴及び教育政策に関する提言(特に学習到達度調査〈PISA〉及び奨学金政策)」について講演した。鈴木寛文部科学副大臣、民主党の国会議員、議員秘書・政策スタッフ等六十人以上が出席する中、同氏は奨学金制度の見直しの必要性などを指摘した。質疑応答ではゆとり教育の評価や学級の最適規模等が取り上げられた。OECDの報告や提言等は民主党の教育政策に大きな影響を与えている。

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