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記事2009年12月3日 2155号 (1面) 
私学振興全国大会を開催
国庫補助制度の堅持・拡充を
国公私間格差の是正
民主、自民両党国会議員に要請

 日本私立中学高等学校連合会など私学三団体は、十二月一日、東京・千代田区の東京都日比谷公会堂で「私学振興全国大会」を開催した。この大会は、年末に予定されている平成二十二年度政府予算案編成で文部科学省の要求している私学関係予算の満額を実現することや、保護者の負担する教育費の国公私間格差是正などを求め開かれたもの。政権交代を受けて大会には与党・民主党と野党・自由民主党の衆参両院議員約三十人(代理を含め)が出席、私学振興への決意などを表明した。


 大会を開催したのは、日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長=富士見丘中学高校長)、日本私立小学校連合会(平野吉三会長=啓明学園理事長)、日本私立小学校中学校高等学校保護者会連合会(新延克己会長)の三団体。この中で主催者を代表して挨拶に立った、吉田会長は、先の選挙以降、子供たちに関する政策重視の動きが見られるようになったこと、子供たちの教育費についても保護者だけではなく、社会が応分の負担をしようとの考えが示されたことを、「誠に時宜を得たもの」として歓迎。その上で、子供たちの教育を誰が担うのか、その費用については国、地方、保護者がどのような割合で負担するのか、国公私立の格差をどのように見直すべきか、わが国の将来にかかわる最重要テーマとして早急に検討してほしいと出席の議員らに要請した。また新延会長は、「私立高校の保護者は、公立高校の五・七倍もの教育費を負担している。国公立高校の授業料無償化政策により、私立高校の保護者の学費負担が軽減される方向にあることは誠に心強い。しかし私立学校の保護者にはなお学費負担が残る」とし、国公私立学校間の保護者負担の格差是正による学校選択の自由実現を要請した。
 さらに折口房子・福岡県私立中学高等学校保護者会連合会副会長が「保護者の願い」と題して、国公立高校授業料相当分が私立の保護者にも支給され、学費が軽減されることは「非常に画期的」とした上で、私立高校についてはなお授業料の負担が残ることに関しては、さまざまな方策による負担解消を要請。加えてこれまでの学校に対する私学助成制度が維持され、予算額が確保されることは、財政基盤の脆弱な私立学校に学ぶ子供たちの学習環境を整備する上で必要不可欠と訴えた。
 その後、@私立高校等に対する国庫補助制度の堅持・拡充A私立高校等における施設設備補助の拡充B国公私立学校間の保護者負担の格差是正の実現――の三点を柱とする決議を満場一致で採択、その実現を政府、国会等に強力に要請していくことを確認した。「保護者の願い」「決議」は民主党、自由民主党の国会議員に手渡された。
 このほか平野会長は、「国にとって教育は最大の投資課題。未来を背負っていく若い人たちが良い教育を受けて将来に夢と希望を持てるよう育てていくために必要な経費は当然出てくる。それは国家の最大の課題、そういう思いを出席の国会議員の方々は心の中に留めていただいたと思う。私たちもそれを再確認させていただいた」と語った。


代理含め30人の国会議員が出席


 この日の大会には政府を代表して鈴木寛・文部科学副大臣、民主党を代表して吉田おさむ・副幹事長(文部科学省担当)、自由民主党からは大島理森幹事長ら衆参両院議員(本人)十七人、議員秘書を加えると約三十人が出席した。
 このうち鈴木副大臣は、私立学校がわが国の教育で果たしている役割の大きさを指摘した上で、高校の授業料実質無償化と私学助成予算の確保に取り組んでいることを出席の私学関係者らに説明するとともに、低所得世帯への授業料減免や私立学校の運営費に対する助成の内容や水準は都道府県の主体的判断で行われているとして、各都道府県ともしっかり連携してほしいと語った。
 また吉田副幹事長(民主党)は、「国公私間の格差の問題は、一人の父親としても心を痛めている。財布も痛んでいる。このことを変えるのが政治の力」とし、格差是正に向け方向性を検討する意向を明らかにした。
 文部大臣経験者でもある大島幹事長(自由民主党)は、日本の力、財産は教育。私学の責務は重大とし、「それだけに大事なことは本当に自由な教育現場を守ること、充実すること」と強調した。
 このほか塩谷立・前文部科学大臣(自由民主党)、長島昭久・防衛大臣政務官(民主党)、遠藤利明・元文部科学副大臣(自由民主党)らが出席した。

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