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記事2009年5月23日 2137号 (1面) 
公費支出額 公私立の高校間で約70万円の格差
私立学校の学納金増の要因に

 日本私立中学高等学校連合会が今年二月に実施した調査で私立高校の授業料滞納者数はおよそ一年前と比べ三倍に増加、全国の私立高校の授業料滞納者は約二万五千人(滞納者比率二・七%)にも上ることが分かったが、公立高校と私立高校の授業料格差が約三倍(入学金・施設設備費を加えた初年度納付金では五・七倍)にもなるのは、公立と私立では公費(税金)投入額に大きな開きがあるためだ。文部科学省の「地方教育費調査結果」によると平成十八年度に地方公共団体が公立学校教育のために支出した教育費は、総額で十三兆八千二百五十四億円。公立学校の児童生徒等一人当たりに支出された教育費(年額)を学校種別に見ると、小学校は約八十九万円、中学校は約百三万円で、高校(全日制)は約百十七万円、同(定時制)は約百七十五万円、高等専門学校は約二百十五万円、となる。保護者の負担を除いても高校(全日制)では約百万円の公費負担となる。
 その一方で、私立学校への助成額は金額的に最も高い高校の場合で、全国平均で約三十万円(年額)。私立小学校や中学校はそれを下回る水準だ。私立学校では様々な面で効率的な運営を行っているものの、公費投入額の違いは大きく、公費投入額の格差は授業料に反映、保護者が大きな負担をする形となっている。
 今や高校は中学卒業者の九七%が進学する教育機関。実際、大学の場合、国立大と私立大との初年度納付金の格差は一・六倍。それだけに準義務教育といえる高校の五・七倍の格差は早急に是正されるべき水準だ。



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