こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2010年1月23日号二ュース >> VIEW

記事2010年1月23日 2159号 (1面) 
高校等就学支援金 年に4回支給
文部科学省 説明会開き、「Q&A」公表
特待生も就学支援金の対象に
授業料ゼロなら国費の対象外

 文部科学省は一月十五日、「公立高校の授業料無償化及び高等学校等就学支援金説明会」を開催した。各都道府県私立学校所管部局の担当者等が出席するなか、同省の担当官らが同省作成の「Q&A」資料(3面に掲載)に沿って、高校等就学支援金の概要を説明、質疑応答などが行われた。


 この日は、各都道府県の私学所管部局の担当者のほか、国公立の高等専門学校関係者が出席した。特に各都道府県でも来年度予算編成が大詰めの段階を迎えていることから、文部科学省に一刻も早い制度確定を求める意見や詳細な事項に関する質問等が相次いだが、同省からは「調整中」、「検討中」との回答も複数あり、なお全体像はつかめない状況。
 説明会の冒頭には、鈴木寛文部科学副大臣が挨拶。続いて高校無償化準備室の袖山禎之主任視学官が高校等就学支援金の実施スケジュールや、平成二十二年四月に国から都道府県への第一回交付を行うことなどアウトラインを説明したが、説明はあくまで現時点でのもので、今後、変更もあり得ることを強調した。その後、同省の小山竜司私学助成課長による私学振興支援策の概要説明を経て、「Q&A」に関する質疑応答が行われた。
 同省の「Q&A」によると、制度全般に関しては、高校等就学支援金の支給期間は全日制で三十六カ月、定時制・通信制で四十八カ月が上限、支給に当たって年齢制限は設けず、二十歳以上も対象とすること。支給対象範囲に関しては、留学生でも本人(保護者)が授業料を負担していて、国内に住所を有する者は対象にすること、在外教育施設(日本人学校など)に通う生徒は支給対象外とし、各学校の特待生制度によって授業料免除を受けている生徒に対しては、支給対象とするが、授業料負担がゼロ円の場合、国費の対象としないこと、対象となる私立学校等において授業料と就学支援金の差額を滞納している場合でも支給対象とすること。支給額に関しては、私立高校の授業料以外の納付金(実習費、施設設備費等)は就学支援金の対象とはならず、授業料として徴収するもののみを対象とする方向。一単位を基準に授業料を設定している単位制高校に関しては支給額の特例(登録単位に応じて支給)を設ける方向。
 支給期間に関しては、休学している期間については、支給を受けることができる月数自体が決まっているため、休学等の場合は申請に基づき猶予を受けることができるようにする方向。資格認定に関しては、四月中に本人から学校設置者に申請書を提出する方向、申請書については国が省令・告示等で様式を示し、学校設置者が作成する予定。支給方法に関しては、国から都道府県への交付は年に四回(四月、七月、十月、一月)を予定しており、県から私立学校等への就学支援金の支給もこれを踏まえたものになると考えられる、としている。学校設置者(学校法人等)が就学支援金を代理受領するスキーム、支給者は都道府県とする方向。


都道府県の関係者「早くモデルケース示して」


 また支給方法の内、広域通信制高校の分校のみが県内に所在する場合、当該分校に通う生徒に係る就学支援金の事務は分校所在県が行うのではなく、法令上の分校、面接指導施設、サポート校いずれの場合でも所轄庁の都道府県が担当する方向で検討中。
 低所得者加算に関しては、具体的な支給の可否を判断するものとしては、世帯構成を考慮した基準である住民税所得割額を活用することを検討しており、提出書類としては、課税証明書・納税通知書が考えられ、また配偶者が控除対象扶養者でない場合には配偶者の所得を確認する書類(課税証明書)を併せて提出することを検討している。低所得者の現状確認は毎年度の課税証明書の提出で確認する、私立学校の低所得者世帯に係る所得確認については、一月から六月については前々年度の所得により、七月から十二月分については前年度の所得を基準とすることを予定。
 事務費・事務配分に関しては、別途資料が配布される予定で、学校設置者が都道府県に提出するのは、名簿等のみとし、申請書は各学校で保管させることについては各県の裁量に任される方向で、支給対象者の一覧については、学校設置者において作成したものを都道府県に提出する方向。
   ◇
 こうした説明に対して、出席者からは、「(家族構成や年収の異なる)いくつかのモデルケースを示してほしい」、「手続きが間に合わなかったら、学校に概算払いしてもよいか」「三月中に入学予定者から必要書類を取ってもよいか」などの質問が相次いで出された。学校への概算払いに関して文部科学省は「構わないのではないか」と、三月中に入学予定者の家庭に必要書類の提出を求めることに関しては、「法律的に可能か後日、精査したい」と回答した。このほか自治体職員からは、学校の事務負担の大きさを懸念する声も聞かれた。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞