こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2010年10月13日号二ュース >> VIEW

記事2010年10月13日 2184号 (2面) 
中教審・初中分科会開催
幼保一体化論議に注文
幼児教育揺らげば禍根
 中央教育審議会の初等中等教育分科会(梶田叡一分科会長=環太平洋大学長)は、十月六日、文部科学省内で第七十一回会合を開き、@「新・教職員定数改善計画(案)」A特別支援教育の在り方に関する特別委員会における審議状況B教員の資質能力向上特別部会における審議状況C幼児教育・幼保一体化について、同省から説明を受け、意見交換を行った。このうち幼保一体化等に関しては、政府の「子ども・子育て新システム検討会議」(事務局は内閣府)における審議状況が説明されたが、梶田分科会長は「子どもの成長・発達がどれだけうまくいくかが大事で、(検討会議の議論は)話が少しずれているような気もする。幼児教育の在り方が揺らいでくれば禍根を残すことになる」と教育重視の観点からの更なる検討の必要性を指摘。北條泰雅・全日本私立幼稚園連合会副会長も「(幼保一体化は)幼稚園関係者にとって極めて唐突との印象。幼保一体化は高校までの学校制度に大きな影響を与える」と語った。また幼稚園教育要領と保育所保育指針が概ね同一になるなら三歳から五歳児の保育所を学校機能を有する施設として位置付け直すことが極めて重要だとした。そのほかの委員からも「(文部科学省で)幼児期の教育と小学校教育との接続が議論されているが、(幼保一体化の議論を受けて)小中、中高の接続について検討の場を設けてほしい」との意見も聞かれた。
 教員の資質能力向上特別部会に関しては、年内を目途に審議結果を取りまとめると言われていたが、同省は「はっきり決まったわけではない」と説明。ねじれ国会から法改正には野党の協力が必要なことなどが影響していると思われる。委員からこのほかは審議課題が幅広いが方向性を検討しているのかなどの質問が出たが、同部会の田村哲夫部会長は「ニューズウィーク誌」の特集で日本の教育は高い評価を受けたことを紹介して、「自信を持って改革していく」などと語った。特別支援教育改革で障がい児は基本的に健常児と同じ学級で学ぶ教育の実施が検討されていることに、障がいを持たない子の権利も守ってほしいとの意見が出されたが、別の委員からは「そうした発言は非常にさびしい」との意見も聞かれた。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞