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記事2010年12月3日 2189号 (1面) 
私大等3団体が緊急大会開催
明日のわが国創造原動力は私大等の充実発展
予算満額実現を求める決議 事業仕分けには不満噴出
 日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会、日本私立高等専門学校協会の三団体は、十二月一日、東京・市ヶ谷の私学会館で「私立大学振興に関する緊急大会」を開催した。会場には事務局も含め全国から三百五十人を超える私大等関係者が詰めかけ、私立大学等経常費補助金の一般補助要求額、特別補助要望額の満額実現等を文部科学省に要望。またそれぞれの地域に戻って地元選出の国会議員に私大等の重要性や関係補助金拡充の必要性を訴えていくことを申し合わせた。

 私大等関係者がこうした振興大会を開催するのは極めて稀。それだけ私大関係者の来年度予算に対する危機感は強い。
 冒頭、主催者を代表して挨拶した白井克彦・私大団体連会長(早稲田大学学事顧問)は、十一月の事業仕分け第三弾で文部科学省の大学教育充実のための戦略的大学連携事業や大学生の就業力育成支援事業等に廃止を含む厳しい評価結果が出たことを取り上げ、これら事業は大学改革の大きな原動力になっており、着実に効果も上がりつつあること、国公私立大学の協調(体制)も起こってきたことなどに言及。また「元気な日本復活特別枠」で大学関係事業に厳しい評価が出ていることに触れ、私大の保護者負担が限界にきている中で、私大等の必死の努力と窮状を世の中に強く訴えていきたいと語った。
 この後、来賓の笠浩史文部科学大臣政務官は、民主党の「コンクリートから人へ」とのスローガンの「人」とは教育であり、社会保障だとした上で、「平成二十三年度予算は私達が一から作る予算。政権そのものが問われている。菅総理に英断をしてもらいたい」と、また我が国の教育についてはOECD諸国と比べて予算投入の仕方や様々な点で遅れを感じているとし、「このままでは日本は取り残される。未来に大きな汚点を残す」と語り、教育等関係予算削減に強い危機感を明らかにした。
 その後、私大団体連の大沼淳副会長(文化学園理事長)が未来の日本を築くために戦略的大学連携事業等の継続・充実の重要性等を訴えた。また私立短大協会の佐藤弘毅会長(目白大学短期大学部理事長・学長)は、厳しい雇用情勢の中で、文部科学省の「学生の就業力育成支援事業」が今年度から始まったものの、陽の目を見てすぐ同じ政府の手により仕分けられるということでは政府に対する信頼は得られないと語った。この後、出席の私大等関係者や、テレビ電話で繋いだ沖縄や北海道の私大関係者からも私学関係予算の継続や充実を訴える意見が相次いだ。
 さらに「明日のわが国を創造する原動力は、高等教育の振興、特に私立大学等の充実発展にある」との文言を前面に掲げ、私立大学等経常費補助金の一般補助の満額実現、同特別補助の満額実現、事業仕分け第三弾の見直し、二十三年度税制改正要望の実現を求める決議を採択、納谷廣美・私大団体連公財政改革委員長(明治大学長)から文部科学省の河村潤子高等教育局私学部長に手渡された。
 最後に白井会長は、「各地の地元の議員に説明してほしい。この二週間が勝負。その結果についても各団体に寄せて頂きたい」と語り、出席した私大等関係者に更なる協力を呼びかけた。
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