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記事2010年12月3日 2189号 (1面) 
中教審キャリア教育・職業教育特別部会
答申案とりまとめ、24日の総会に提出
新しい学校種創設に道
 中央教育審議会キャリア教育・職業教育特別部会(部会長=田村哲夫・渋谷教育学園理事長)は十一月二十九日、文部科学省内で第三十回会合を開き、答申案をほぼ取りまとめた。この日、委員から出された意見を反映して一部修正の後、十二月二十四日の中教審総会に報告する。
 答申案の中では、同部会の大きな焦点の一つになった「職業実践的な教育に特化した枠組み」に関して最後まで複数の委員から意見が出された。「中身がはっきりしない。作りたい側の論理では学生のためにならない。学生生徒のためになる制度改革を前提としてほしい」「新しい学校種を創設することか」「職業実践的な教育に特化した枠組みは新しい学校種の創設を含んでいると考えている」「産業人が私学で作って示してくれないと、国は財政的に相当厳しい」「賛成と反対があったことが審議経過報告に書いてあった方が素直に受け止められる」などの意見が出された。同省の板東久美子生涯学習政策局長は、新しい学校種の創設も考えられること、引き続きメリット、デメリットについて検討していきたいと語った。
 このほか普通科志向が極めて強い中で、専門高校から大学へのキャリアパスをどうつなぐかが十分強調されていない点を懸念する意見や、また「専門高校の専攻科、専攻科卒業者の大学への編入学についてはほとんど検討しなかったが、それでおいて『積極的に検討することが必要』と言うのはおかしい。具体を示すべきだ」といった意見も聞かれた。
 また義務教育段階のキャリア教育に関しては、「第一次審議経過報告では書き込みが多かったが、答申案では小・中学校に関してはそんなに強調されていない。それではキャリア教育は高校からとなってしまう」といった意見が聞かれた。そのほか「普通科高校には科目『産業社会と人間』を課すといううわさが広がっているが、誤った情報が流れているのは問題だ」「答申案には異論はない。強力に教育委員会を指導して若者が社会に出てうろうろしないで済むようにしてほしい」といった意見も出された。
 答申案の答申部分は約百ページ。キャリア教育・職業教育の課題と基本的方向性に始まり、発達段階に応じた体系的なキャリア教育の充実方策、後期中等教育と、高等教育におけるキャリア教育・職業教育の充実方策、生涯学習の観点に立ったキャリア形成支援の充実、キャリア教育・職業教育充実のための連携の在り方を取り上げている。
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