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記事2010年2月13日 2161号 (1面) 
京都府と大阪府で私立高授業料無償化の動き
低所得者対象 公私格差はなお存在

 いわゆる高校無償化法案が三月中に成立、四月から実施となる見通しだが、公立高校は授業料が不徴収となった一方で、私立高校等については、基本的には年額十一万八千八百円の就学支援金支給(低所得者層には割増あり)にとどまったため、公私立高校間の格差は依然大きな形で残ったままだ。こうした状況を少しでも改善しようと、一部の地方自治体では、自前財源を使って、私立高校生等の家庭の教育費負担を軽減しようという動きが出ている。
 このうち京都府では、平成二十二年度から、高校生が安心して勉学に打ち込めるよう、低所得者世帯を対象に「京都式あんしん修学支援制度」を創設する。事業の柱は、「私立高等学校あんしん修学支援事業」(平成二十二年度予算案は九億八千五百万円)と「高校生給付型奨学金支給事業」(同二億六千六百万円)。前者の「私立高等学校あんしん修学支援事業」は、生活保護・リストラ世帯については私立高校の授業料を全額無償化し、年収三百五十万円未満の世帯については、新たに府内平均授業料六十四万円まで実質無償化する。六十四万円の中には授業料のほか、恒常的な施設設備費も包含できるという。年収三百五十万円から一千二百万円までの世帯については学費軽減助成を年額五万円に増額する。後者は低所得者世帯の子の高校進学を促進するため、学用品費に対する助成制度を創設する。公私立高校対象で、入学支度金は四万五千円から十七万八千円、奨学金として年額六万円を助成する。大阪府でも同様の予算案が今月中にも決定される見通しで、私立高校を対象に、年額五十五万円までの授業料については無償化とする予定だ。ただしこちらも低所得者層が対象で、年収三百五十万円超の世帯では公私間の教育費格差は依然大きい。また私立高校の授業料が平均額を上回る場合、私立高校側の経済負担も生じることから、対象者の拡大と同時に無償化となる授業料額の引き上げも今後の大きな焦点となりそうだ。

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