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記事2010年4月3日 2166号 (2面) 
専門職大学院現状と課題の報告書まとめる
就労環境との齟齬など指摘
中央教育審議会の審議動向
大学分科会大学院部会専門職学位課程WG

 専門職大学院の在り方について審議してきた中央教育審議会大学分科会大学院部会のワーキンググループ(座長=荻上紘一・大学評価・学位授与機構教授)は三月二十三日、文部科学省内で会議を開き、専門職大学院の現状と課題についての報告書を取りまとめた。設置者に、定員割れ改善に向けた取り組みを求めるとともに、特に大学院大学については設置基準などの改善の必要性にも言及している。
 十月から計六回開かれたWGはこの日が最終回。報告書を近く、親部会の大学院部会へ提出し、人社系、理工系など他分野のワーキンググループの報告と合わせて、平成二十三年度からの新しい大学院教育振興施策要綱を策定する上での指針とする。
 専門職大学院(法科大学院、教職大学院を除く)の平均入学定員充足率は、平成十八年度以降未充足状態が続いているが、特に、大学院大学の約七割が定員未充足で、このうち約九割で開設以来未充足状態が継続。そのうち学校設置会社立、専門学校や予備校を基礎に持つ設置主体者の大学が約七割を占めているという。
 報告書では、未充足の要因の一つとして、新たなコンセプトの専門職大学院と就労環境とのミスマッチを指摘。設置者に対して、設置計画が適切であったか、社会的なニーズ、教育の質、教員体制や学生の進路動向などを検証し、規模の在り方を検討するよう求めている。あわせて、規模の見直しを促進するスキームも必要としている。
 特に大学院大学については、現状の設置審査では、準則主義のもと、より精緻かつ厳格な審査を行うには限界があるとの指摘もあり、設置基準などの内容が不明確な現状を改善する必要があるとしている。
 また、日本社会をリードする知見と応用力を有する専門職養成という本来の目的へ立ち返り、人材養成の到達点を明確にし、修士課程など他の学位課程や学校種との関係を明確に整理する必要があると指摘。質の保証・向上の観点から、産業界や職能団体との連携協力や、認証評価による厳格なチェックなどを求めるとともに、修了生が学修した内容をキャリアで有効に発揮できるよう、専門職大学院への社会的信頼と認知度の向上を図る取り組みが必要としている。

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