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記事2010年7月13日 2176号 (1面) 
学級編成・教職員定数改善で提言
中央教育審議会初中教育分科会
小学校中学校 35人学級へ移行を インクルーシブ教育で特別委
 中央教育審議会の第七十回初等中等教育分科会が七月十二日、都内の会館で開かれ、「今後の学級編制及び教職員定数の改善について」と題する提言をほぼ取りまとめた。この日、委員から出された意見で一部文言を修正した上で、近く文部科学省の政務三役(大臣、副大臣、大臣政務官)に提出する予定。また政府の障がい者制度改革推進会議(会議の庶務は内閣府政策統括官が担当)が検討を続けている障害者と障害のない人がともに学ぶ「インクルーシブ教育」の具体化に関して同分科会内に新たに「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」を設置することを決めた。

 この日の初等中等教育分科会では、@障害者権利条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方A子ども・子育て新システムの基本制度案要綱B今後の学級編制及び教職員定数の改善について審議した。このうち、今後の学級編制および教職員定数の改善に関しては、基礎資料を除き二十ページの提言をほぼまとめた。
 提言は、学級編制の弾力化、総額裁量制の導入などこれまでの取り組み、今後の学級編制及び教職員定数改善の基本的な考え方、具体的な改善方策として、小・中学校の学級編制の標準、教職員定数の改善、学級編制に関する権限の市町村教育委員会への移譲、制度的改善事項、学級編制・教職員定数の改善とともに取り組むべき重要課題等を取り上げている。
 提言のポイントは、▽新学習指導要領の円滑な実施、生徒指導面の課題等への対応、教員が子どもと向き合う時間の確保等の観点から、小・中学校の学級編制の標準(単式学級)を、現行の四十人から引き下げる▽小学校低学年については更なる引き下げを検討する▽画一的な取り扱いにより学級規模が小さくなり過ぎないよう、柔軟な学級編制を可能とする仕組みが必要としている。
 また教職員定数の改善に関しては、次に掲げた観点から実施が必要としている。▽基礎定数の充実▽学校運営体制の整備▽特別支援教育の充実▽外国人児童生徒への日本語指導の充実▽生徒指導の充実▽児童生徒の心身両面の支援▽食育の充実▽事務処理体制の充実▽読書活動の支援▽キャリア教育・進路指導の充実▽高校における教職員定数改善。
 こうしたことに加えて、公立小・中学校の設置者である市町村が主体的に学校の教育条件整備に取り組む観点から、学級編制に関する権限を都道府県教育委員会から市町村教育委員会に移譲すること、また計画的な教職員配置を進めるなどの観点から加配定数の相当程度を基礎定数に組み入れることも提言している。
 このうち小・中学校の学級編制の標準については、具体的人数は示していないが、提言中には「学級編制の標準を例えば三十五人に引き下げる場合を仮定してみると」といった文言があり、同分科会側の意向が透けて見えるようになっている。
 一方、障がい者制度改革推進会議に関しては、同会議が六月七日にまとめた第一次意見を基に策定された障害者制度改革の推進のための基本的な方向性(六月二十九日に閣議決定)の概要や工程表が文部科学省から説明された。改革の方向性に関して同分科会の委員から異論はなかったものの、学校関係者からは障害を持った児童と障害のない児童が同じ学級で学ぶためには相当の条件整備が必要との意見が複数聞かれたほか、条件整備がないままにインクルーシブ教育が見切り発車する恐れを指摘する意見も聞かれた。
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