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記事2010年7月13日 2176号 (1面) 
教員資質能力向上特別部会
教職課程が障壁に
鈴木副大臣断念学生ら取り込む方策検討を

 中央教育審議会の「教員の資質能力向上特別部会」は、七月七日、都内で二回目の会合を開き、前回に続き教員の養成、採用、研修等に関する自由討議を行った。まだ論点を絞っての議論ではないため、改革の具体的方向性は見えていない。
 自由討議の中では教育委員会関係者を中心に、「大学の教員は一枚岩となって教員養成に当たっているのか」など、大学での教員養成への不満・不信が複数聞かれたほか、「教員免許は過去の学歴あるいは教育界に入るとっかかりに過ぎない。教員の実力を示す公証力はない」といった免許制度の根幹にかかわる意見なども聞かれた。
 また教員の資質向上には大学での履修増(教員養成の六年制化)が不可欠とする意見が出される一方、カリキュラムを増やすと教員志望の学生が減り、競争倍率が低下、教員の質向上には結び付かず、教員の資質向上には実践力の強化が重要との意見も聞かれた。
 これに関係する、特別支援学校に大学院を設け(学校拠点方式の教職大学院)、日々の教育実践の中で教員に実力をつけていくといった福井大学教職大学院の取り組みなども報告された。
 この日の会議には、鈴木寛・文部科学副大臣も出席したが、副大臣は「教職課程が障壁になって、教員になることを断念している学生がいる。そうした人たちを教育界にどう取り込むか。社会人の中にも教員になりたいという潜在的ニーズがある。現実問題として教員免許をなくすことはできないが、実質的にこうした人たちに教育界へ入ってもらう道筋をどう作るか議論してほしい。ただ大学の自治とのバランスが最大の悩み。学生に大学の授業のビデオを見せてもらったところ、教育学部の大規模授業で学級崩壊すれすれのところがある」などと語ったほか、「善管主義」(教員が自ら努力して内実を高める)を基本としつつ、頑張る教員を増やすために、教育委員会が中心となって大学と連携して改革に取り組む必要性を強調した。このほか大学関係者からは、「教員のきちんとした採用を考えてほしい」といった意見や、保護者からは「教員は資質を持っているが、多忙さゆえ教員間、保護者との間の信頼関係が築けず十分資質を発揮できていない」、また中学校長からは「ニュージーランドのように、学校の管理職のニーズや課題〈意識〉に大学が即座に応えられるようにしてほしい」、教育委員会教育長からは「大学での教員養成の内容はユーザー主義だったか。ユーザーの求めているものをカリキュラムにしてほしい。四年プラスアルファ、あるいは三年プラス一年でも教員養成はリアルカリキュラムにしてほしい」などの意見が聞かれた。
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