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記事2010年9月23日 2182号 (1面) 
小・中学校での暴力行為過去最高に
文部科学省 21年度問題行動等の調査結果公表
生徒間が56%占める いじめや中途退学等は減少

 平成二十一年度一年間に、小学校・中学校・高校で発生した児童生徒による暴力行為の件数は前年度より約一千件多い約六万一千件に上り、特に小・中学校では過去最高を記録した。その一方でいじめ、不登校、中途退学の発生率はいずれも減少していることが九月十四日、文部科学省の公表した「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果」で明らかになった。同調査は、国公私立の小・中・高校、特別支援学校を対象に生徒指導上の問題を調べたもの。概要をみると―。

 ■暴力行為=平成二十一年度の発生件数は国公私立学校全体で六万九百十三件、暴力行為が発生していた学校の割合は学校内の事案で二三・七%、学校外では八・八%だった。学校種別発生学校数の割合(学校内)では高校が最も高く五三・九%、中学校は四二・一%、小学校が七・六%だった。設置者別発生割合では、小学校で私立が公立をわずかに上回ったものの、中学、高校で私立の発生割合が低かった。
 発生件数約六万一千件のうち、生徒間の暴力行為が五六・三%(三万四千二百七十七件)を占め、次いで器物損壊が一万四千九百七十四件、対教師暴力が八千三百四件などだった。教師に対する暴力行為に関しては、私立学校の発生割合は公立を大きく下回っていた。
 ■いじめ=小・中・高校、特別支援学校におけるいじめの認知件数は、七万二千七百七十八件で前年度と比べ約一万二千件減少していた。いじめの認知件数、約七万三千件のうち、公立学校でのいじめの認知件数は七万二百十九件、私立学校でのいじめの認知件数は二千二百九十六件、国立は二百六十三件だった。いじめに関しては公私立学校間で際立った違いを見せている。いじめの認知件数のうち、いじめが解消したものが七九・五%、一定の解消関係が図られたが継続支援中が一五・三%、解消に向けて取り組み中が四・一%、他校への転学・退学等が一・一%だった。いじめの発見のきっかけは本人からの訴えが二四・三%で最多。いじめの態様のうち、パソコンや携帯電話を使ったいじめは三千百七十件で前年度より千三百五十七件も減少していた。いじめ認知件数に占める割合は四・四%。
 ■高校の不登校=高校にも不登校生がいて、その数は約五万二千人。不登校生の割合は前年度から少し低下し一・六%だった。
 ■中途退学=高校における中途退学者は約五万七千人で前年度より約九千人減少していた。中途退学率は前年度の二・〇%から一・七%に低下していた。中途退学率を設置者別にみると、国立が〇・五%、公立が一・七%、私立が一・八%。私立だけをみると、平成十年度の三・〇%をピークに低落傾向が続いており、平成二十一年度に一%台となった。
 ■自殺=小・中・高校の児童生徒で平成二十一年度中に自殺したのは百六十五人で前年度より二十九人も増えていた。内訳は小学生〇人、中学生四十四人、高校生百二十一人。自殺した児童生徒の置かれていた状況に関しては半数強は確たる自殺の原因がつかめずにいるが、原因と思われるものの中では家庭不和が一〇・三%で最も多く、そのほか精神障害(九・七%)、厭世(九・一%)、父母等の叱責(八・五%)が多くみられた。
 ■教育相談=地方自治体の教育相談機関における教育相談件数は前年度と比べ減少していた。
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