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記事2011年1月13日 2192号 (1面) 
私立大学等経常費補助 一般補助20年ぶりの高比率に
平成23年度文部科学省私学関係予算案詳報
私立高校等経常費補助 全校種で単価増
高校単価は52905円
 平成二十三年度政府予算案が昨年十二月二十四日、閣議決定されたが、文部科学省はこのほど、各局別の詳細な事業内容を公表した(前号で一部既報)。それによると、私立大学等経常費補助は前年度比十二億六千万円減の三千二百九億二千二百万円となったが、同補助の内、教職員給与費など大学運営に欠かせない経常的経費については六百九十二億百万円の大幅増額となった。しかも短期大学、高等専門学校の教員経費単価を大学と同額にまで引き上げるなど、地方の、あるいは規模の小さな高等教育支援を充実しているのが特徴。
 一般補助が前年度比で三二・六%も増額したのは、従来、特別補助の対象となっていた取り組みのうち、共通的なものとして一般化した取り組みを補助対象としたことなどによる。私大等経常費補助に占める一般補助の割合は、こうした改正で二十年ぶりの高比率である八八%に上昇した(二十二年度は六六%)。
 それに伴い特別補助は二十二年度の千百二億一千四百万円から三百九十七億五千三百万円に減額。二十三年度から補助対象となる取り組みは、新成長戦略を踏まえて私立大学等のマネジメント改革を伴った組織的な取り組みの定着を図るもの。具体的には、成長分野で雇用に結びつく人材の育成、社会人学生の組織的な受け入れ・大学等の国際交流の基盤整備・大学院等の持続可能性のある基盤整備・未来経営戦略への支援、授業料減免や経済支援体制等の充実を図る。
 私立高等学校等経常費助成費等補助は二年ぶりに一千億円台の千二億三千万円となったが、その内訳は、一般補助が八百八十六億七千四百万円、特別補助が八十九億二千五百万円、特定教育方法支援事業が二十六億三千百万円。一般補助の生徒等一人当たり単価は数百円程度前年度より増えており、学校種別単価は高校(全日制・定時制)が五万二千九百五円、中学校が四万六千八十七円、中等教育学校後期課程、前期課程はそれぞれ高校、中学校と同額。小学校は四万四千四百八十七円、幼稚園は二万二千六百十九円。
 特別補助では教育改革推進特別経費が前年度比九千八百万円増え五十三億四千三百万円、過疎高校特別経費が三百万円増の二億六千三百万円、授業料減免事業等支援特別経費は前年度比二千四百万円増の二億七千六百万円。過疎高校特別経費の生徒一人当たり単価は六万八千三百三十五円で、前年度比二十八円増。授業料減免事業等支援特別経費は、生活保護世帯と家計急変世帯が対象。
 特定教育方法支援事業は、特別支援学校や広域通信制高校等への支援を行うもの。一方、施設設備関係の補助金をみると、「私立大学等の教育研究装置・施設の整備費に対する補助」は前年度比一一・六%、八億六千万円減の約六十五億八千五百万円。同補助は私立大学戦略的研究基盤形成や教育研究装置等整備、バリアフリー化、エコキャンパス化等を支援するが、二十三年度の補助事業は今年度と比べ大きな変更はなく、補助額の減額を受けて各補助メニューは喫緊の課題である「学校施設耐震改修事業」を除いて軒並み前年度比減額となっている。「私立高校等の施設整備費に対する補助」は前年度比千二百万円減の約十六億八千八百万円。小学校から高校までを対象に校内LANの整備など高機能化、防災機能強化、エコキャンパス化などを進めるが、この中では高機能化補助が二九・二%と大幅に減額された。防災機能強化は微増した。

高度化推進事業費補助は19%増
私学事業団貸付計画額770億に

 「私立大学等の研究設備等の整備費に対する補助」は、前年度比一二・一%、額にして五億八百万円減の約三十六億九千六百万円。研究設備や教育基盤設備など全補助メニューで減額となった。
 「私立高等学校等IT教育設備整備推進事業」は、前年度比一五・一%減の六億七千九百万円の予算。各教科等でIT教育を実施するための設備整備を支援する。
 「私立学校施設高度化推進事業費補助」は、私学事業団の融資を受けて実施される老朽校舎や危険建物の建て替え整備事業などに利子助成を行うもの。予算額は前年度比一九・三%増の約二十億九千八百万円が予算化された。
 「日本私立学校振興・共済事業団貸付事業」は、学校法人の資金需要を勘案して貸付計画額を二十二年度の九百億円から七百七十億円に減額している。融資の対象は校舎等の建築、バリアフリーのための改修、災害復旧、公害対策、教育環境整備など。
 このほか私立学校教員研修費等補助(日本私学教育研究所研究事業費等補助)は前年度比五百十四万五千円減の千九百七十万二千円となった。同研究所の実施する初任者研修等事業費の一部を補助するもの。


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