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記事2011年11月23日 2222号 (5面) 
新校長インタビュー(239)
早稲田中学・高等学校 校長 八巻 和彦氏
生徒の個性・自主性を最大限に尊重
伝統的に体験学習を多く導入
 「生徒の将来像を教師も一緒に考えて、個性・自主性を最大限尊重しています。大学進学にしても、生徒自身の志望を尊重しています」と八巻和彦・早稲田中学高等学校長(東京都新宿区)は語る。同校は、早稲田大学の創立者、大隈重信の教育理想に基づき、坪内逍遥らによって創立された。同大学の建学の精神「学問の独立」に対し、同校は「人格の独立」を主張している。個性・自主性の尊重は、この基本的な考えに基づいている。
 「言行一致という意味での『誠』を身に付けるなかで、生徒一人一人がその『個性』を伸ばしつつ、結果として世界に貢献できる『有為な人材』として育成されることを目標にしています」と八巻校長は、「誠」「個性」「有為の人材」の三点を教育目標に掲げる。
 同校が伝統的に体験学習を多く導入しているのも、「人格の独立」を重視しているからだ。
 「生徒たちは、生徒会、クラブ活動、学校行事、スポーツなどを通して多様な経験を積むことにより、大学や社会で活躍する基本が身に付いていくのです。人間形成の視点から、各学年にふさわしい体験をさせています」と八巻校長は体験重視の意義を語る。
 中高一体で行われるクラブ活動に、中学生はほぼ全員が参加。この六年間にわたる先輩後輩のつながりは、卒業後も続く深い人間関係となる。
 社会や理科には実習や実験が多い。たとえば社会では中学一年の学年全体をテーマごとに六十グループに分けて鎌倉研修を実施。理科では長瀞をフィールドに地層や化石の調査を行う地学実習を行う。また、伝統の「利根川歩行」や、豊かな感性を培うために、オペラや歌舞伎の本物を鑑賞する行事などを実施している。
 文系と理系のコース分けは高校二年から行うが、六年間を通して、生徒が志望の大学・学部に進学できるための教育だけでなく、大学進学後に必要となる知識や教養をも考慮したカリキュラムを設置している。早稲田大学の系属校として、生徒の約五〇%が推薦で早大に進学している。
 「大隈は、少年の学びたいという内発的な思いを育み、それを尊重する教育が大事だと言っています。これが本校の教育の原点です」と八巻校長。
 早稲田大学商学学術院教授も兼務。大学では「総合教育」としての哲学を中心に教えている。専門は西洋哲学。山梨県出身。
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