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記事2012年10月3日 2251号 (1面) 
高校学力判定試験求める声次々と
求める人材像、固定化に懸念も
 九月二十八日の高大接続特別部会の初会合では自由討議が行われ、委員からさまざまな意見が出された。教育関係者からは、「大学の在り方やねらい、使命等で学士力もいろいろあり得る。学力が低いからだめではなく、成長可能性を捉えるべき。センター試験も大学入学後の学習や、推薦入学決定後の学習に有意義な試験にできないか」「志願者の意欲・能力・適性等の多角的・総合的な評価に基づく入試への転換は方向性としては正しいが、実現は難しい。学校種間の責任のなすり合いにならないよう、制度見直しで直接影響を受けるのは子どもたちだということに十分留意してほしい」「校長による卒業認定とは別に、学力判定のための共通試験が必要。自らの弱点を認識してその後に活かしていくことが大事。ただし一点刻みの試験ではなくグレードで見ていく試験を」「高校における学力の客観的な把握については大学入試とは区別して考えるべきだ」といった意見が聞かれた。
 また、産業界出身の委員からは「高校から大学入試にかけて不透明なので、共通の第三者基準のテストをしてほしい。複数回チャレンジでき、一点で分けないことが大事。大学入学者選抜にコミュニケーション能力を見る内容を入れてほしい」「学習の積み上げを測るテストが必要」といった意見が聞かれた。
 こうした議論はとかくグローバルに活躍する人材や優秀な学生の育成といった面に偏りがちだが、委員からは「誰もがグローバル化することはない。(求める)人材像を一点に集中させないように」「各人の学びに希望が見える仕組みにしてほしい」といった意見も聞かれ、安西部会長も「全ての子が前向きになれるよう、全体を視野に入れた検討を」と語った。
 しかし多様化した高校教育、推薦入学やAO入試で実質全入時代と言われる中で大学入学者選抜改革は相当の困難が予想される。次回部会は十月三十一日。
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