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記事2012年11月13日 2255号 (1面) 
教職大学院 モデル的機能から一般的養成機能に転換
カリキュラム構成見直し
修士レベルの教員養成課程改善WG

 文部科学省の「教員の資質能力向上に係る改善方策の実施に向けた協力者会議」の「修士レベルの教員養成課程の改善に関するワーキンググループ」(村山紀昭座長=北海道教育大学名誉教授)は十一月九日、同省内で第二回会合を開いた。この日は、冒頭、同省と村山座長が新たな教職大学院の在り方等を提案、それに沿って検討が行われた。その提案とは、教職大学院について、質・量の両面で拡充を図ること、従来のモデルとしての機能から一般的な養成機能に転換する、共通に開設すべき授業科目(二十単位程度)を十〜二十単位に減らし、教科指導力の育成、特別支援教育の導入、「教育実践研究報告書(仮称)の作成と発表」(四単位)の創設など教育課程の見直しを図る―というもの。カリキュラムに関しては、「教科教育を中心とした履修モデル」「生徒指導を中心とした履修モデル」「特別支援教育を中心とした履修モデル」「学校経営を中心とした履修モデル」の四つの案が提示された。
 一方、教員養成系大学の修士課程や一般大学の修士課程(理学部や文学部の研究科など)での教員養成については、学校現場での実践性を備えた教育が十分ではないなどの指摘があることから、当面の改善方策として「教職実践に関する科目」(仮称)を必修化(インターンシップと教職実践研究報告書の作成の義務化)して、理論と実践の往還を進め、教員養成課程の充実を図る、としている。
 教職大学院について目的・機能といった根本からの見直しは、現職教員を学生として多く派遣している教育委員会のニーズ等を反映したものだが、それだけでは経営的に厳しいため、新規学部卒業者が数多く入学するよう、学生のニーズも把握し、カリキュラム作りに生かしていく方針。
 しかし量的に少数(二十五大学、入学定員八百十五人)で教員養成のモデル的な機能を果たしていた教職大学院が、量的拡大を図り、一般的な養成機能に転換することについては、教員養成系大学の修士課程(四十四大学、入学定員三千二百六十五人)と質的差別化が難しくなる側面もある。
 文科省の池田貴城・大学振興課長も会議の最後に「頭の痛い」問題と発言しており、村山座長は「教職大学院の持ち味を生かしながら拡大していく」と語ったが、どう役割分担するかがポイント。次回は教員養成系大学の修士課程での教員養成の在り方を討議する予定。
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