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記事2012年2月13日 2229号 (1面) 
広域通信制高校問題改善を文科省に要望
民間業者に 教育丸投げ℃タ態顕在化
法令改正を含めて解決策を要望
全国私立学校審議会連合会
全国私立学校審議会連合会(以下、全審連)の近藤彰郎会長と實吉幹夫副会長、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長は、一月二十七日、文部科学省を訪れ、生涯学習政策局、初等中等教育局、高等教育局の担当官に、広域通信制教育をめぐる問題の早期改善を求める要望書を提出した。

 全審連が同省に提出したのは、「広域通信制高等学校に関する問題の改善について」と題する要望書。その中で同連合会は、広域通信制高校をめぐっては、首都圏を中心に十年以上前からサポート校と呼ばれる民間業者が介入し、生徒の学習活動を事実上肩代わりする実態が顕在化、公教育機関としての在り方を疑問視せざるを得ない事態が生じていることを訴えており、また広域通信制高校の指導監督権限は、あくまで本校を設置した都道府県にあり、当該都道府県域外におけるこれらサポート校や学習センター等の実態把握がほとんど不可能な状況となっているなど制度上の問題点も指摘、改善を要請している。
 同連合会は過去十回にわたり同省に同趣旨の要望を行っているが、事態に改善の兆しが見られない状況。同連合会は要望書で、「サポート校に教育を『丸投げ』し、安易に高等学校卒業資格を取得させる等の実態は年々顕著になっている」と訴えている。
 そうした中、同省が専修学校における通信制学科の制度化を進めていることから、「とりわけ専修学校高等課程において『広域通信制教育』が導入されれば、広域通信制高等学校の場合と同様に、『卒業資格』取得が目的化し、学校としての実体を伴わないサポート校の事業活動がさらに活発化する恐れがある」と指摘。専修学校高等課程にも広域通信制教育を導入するのであれば、まずは同じ方法で教育活動を行っている既存の広域通信制高校の実態把握を十分に行った上で、高校通信教育規程など法令改正も視野に入れた解決策を講じることを求めている。
 同省では、広域通信制高校教育に問題があるとの認識を持っており、生涯学習政策局など三局が情報を共有する場となるプロジェクトチームを立ち上げ、実態把握に乗り出し始めている。広域通信制高校の現地視察にも出掛ける予定。
  ◇
 広域通信制高校に関しては、構造改革特区制度を活用して株式会社立の高校も誕生しているが、その制度の評価を行っている構造改革特別区域推進本部評価・調査委員会の教育部会でも問題があるとの認識で、二月十四日には「学校設置会社による学校設置事業」の特例措置の評価を検討することにしている。


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