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全私学新聞

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記事2012年3月23日 2233号 (1面) 
民主党私学振興推進議連が株式会社立校問題を協議
内閣府、文科省、私学から意見聴取
全私学連合「全国化認められない」
 民主党の私学振興推進議員連盟(会長=木義明・衆議院議員、元文部科学大臣)は、三月十五日、参議院議員会館で急遽、総会を開き、「構造改革特区における株式会社による学校設置に対する評価」に関して、内閣府、文部科学省、全私学連合から意見を聴取、今後の対応等を協議した。

 総会には特区制度を担当する内閣府から枝広直幹・地域活性化推進室室長代理が、文部科学省から小松親次郎・高等教育局私学部長らが、また全私学連合からは小出秀文事務局長(日本私立大学団体連合会事務局長)ら私学団体の事務局長等が出席した。
 初めに、同議連の木会長が、「率直な意見交換をしてほしい」などとあいさつ、その後、内閣府の枝広室長代理が構造改革特区の概要や現状、また、この日の議題である「学校設置会社による学校設置事業(特例措置番号816)」について、構造改革特別区域推進本部(本部長=内閣総理大臣)の評価・調査委員会の三月の会合では、全国展開(規制をなくして全国で設置できるようにすること)の可否等について、引き続き平成二十四年度に評価を継続実施すること、ただし弊害も見られることから、現状のままでの全国展開は考えていないことを報告した。株式会社立学校の現状等については、設置された小学校は一校のみ、中学校は一校あったが、二十三年度に学校法人に移行したこと、高校でも学校法人化する学校があり、大学・大学院では学校法人化した学校や閉校を予定している学校があること、同特区を申請した市町村では総じて効果が見られるとの声が寄せられていることなどを報告した。
 一方、文部科学省からは、同省が昨年九月から十一月にかけて、株式会社立学校を対象に、書面調査と実地調査を実施した結果が報告されたが、通信制高校に関しては民間の教育施設(いわゆるサポート校)と渾然一体となった運営をしている学校があること、教育活動の添削指導では八割以上を多肢選択式としている学校が二五%あり、同省が学習指導要領解説(総則編)で不適切としている「マークシート方式」による課題の添削指導も複数の学校で見られたこと、毎年、同じ試験問題を出している学校も見られたこと、その他大学に関しては八割は赤字経営であることなどを報告、文部科学省としては特例措置(816)については廃止すべきだと考えており、早急に評価結果を出すよう要請した。
 続いて全私学連合は、「二月十五日の同議連総会での総合こども園への株式会社参入に関する意見聴取の際に述べた考えと同じで、株式会社等による学校教育・経営の参入を全国化することは到底認められない。教育を単なるサービスと捉え、全くの市場原理に委ねるという考え方は、我が国の将来にとって極めて危険な考え方と言わざるを得ない」などと述べた。(全私連の意見2面に)
 こうした報告や発言を受け、鈴木寛・同議連幹事長は、「株式会社(という設置形態)の下で資金調達力を期待できるなどの仮説で検証を行ってきた。特区はトライアル。株式会社という主体に着目してあと何を検討するというのか。教育関係者の懸念が裏付けられた部分は多い。トライアルは終わった」と同特区制度は廃止が妥当との考えを示唆した。
 しかし内閣府の枝広室長代理は担当の川端達夫大臣の意向も紹介した上で、いくつかの弊害を乗り越える対応等についてスピード感を持って行い、評価を進めていく考えを改めて説明し、理解を求めた。
 鈴木同議連幹事長は、学校法人の適用のバーが高いとの意見があることにも触れ、文部科学省に学校法人の在り方の検討を要請、民主党内でも大学改革プロジェクトチームで議論の俎上に乗せたい、と語った。
幼保一体化で私幼
団体から意見聴取も
 この日の議連総会では、二月に続いて幼保一体化の問題も取り上げられ、全日本私立幼稚園連合会の北條泰雅副会長、全日本私立幼稚園幼児教育研究機構の田中雅道理事長らが出席し、株式会社の総合こども園への参入に関してはそもそも株主への配当を認めるべきではないなどと語り、幼保一体化には課題が多いことなどを訴えた。これに対して鈴木・同議連幹事長は木会長の指導の下、議連として関係省庁に申し入れを行う考えを明らかにした。


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