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記事2013年3月3日 2265号 (1面) 
道徳を新たな枠組みで教科化 教育再生実行会議
第一次提言を総理に提出
いじめ問題等への対応社会総がかりで
法律制定、部活動指導にはガイドライン策定
 政府の教育再生実行会議(座長=鎌田薫・早稲田大学総長)は、二月二十六日、総理官邸で第三回会合を開き、「いじめ問題等への対応について」と題する第一次提言をとりまとめ、鎌田座長が安倍晋三総理に提出した。いじめ問題等への対応については、安倍内閣が最重要課題とする教育再生に向けて避けて通れない緊急課題と位置付け、@道徳を新たな枠組みによって教科化するA社会総がかりでいじめに対峙していくための法律の制定Bいじめに向き合う責任ある体制の構築C毅然とした適切な指導D体罰禁止の徹底と部活動指導ガイドラインの策定等を打ち出している。

 第一次提言は道徳の教科化など五点からなり、提言部分は全体で六ページと簡単なものだが、子どもの自殺等が繰り返される中で、いじめ問題への対応を一歩も二歩も進めたいとの強い思いを感じさせる提言といえる。
 提言の冒頭では、自殺など痛ましい事案を断じて繰り返すことなく、「いじめは絶対に許されない」、「いじめは卑怯な行為である」との意識を日本全体で共有し、子どもを「加害者にも、被害者にも、傍観者にもしない」教育の実現へ五つの改革を求めている。
 第一は、道徳を新たな枠組みによって教科化し、人間性に深く迫る教育を行うこと。
 道徳教育は学校や教員によって充実度に差があるため、道徳の特性を踏まえた新たな枠組みによって、指導内容を充実し、効果的な指導方法を明確化する。
 その際、現行の道徳教育の成果や課題を検証、諸外国の取り組みも参考にする。全ての教員が修得できる心に届く指導方法を開発、普及し、道徳教育のリーダーシップのとれる教員を育成。道徳教育の教材としては、具体的な人物や地域、わが国の伝統と文化に根差す題材、人間尊重の精神を培う題材等を重視する。
 いじめ問題への対応に関する法律制定については、いじめの定義、社会総がかりで対峙していく姿勢、いじめられている子を全力で守る大人の責務、相談体制や関係機関との連携・協力の構築、いじめへの迅速かつ毅然とした対応(通報、被害者支援、加害者指導等)を法律に盛り込む必要性を指摘している。
 責任ある体制構築に関しては、教職員研修の充実、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置促進、生徒指導に専任的に取り組む教職員の配置、教職員の多忙な実態を解消するため、校務運営の効率化等を提案している。
 毅然とした適切な指導では、教職員、相談対応者、保護者等のいじめ発見者は学校や教育委員会等に速やかに通報すること、しかし学校に通報しても解決されない重大な事案の場合は、第三者的な組織が解決を図ること、教育上必要がある場合には、校長及び教員は加害児童等への懲戒を行い、また、いじめられている子どもを守るために必要な時には教育委員会は加害児童等の保護者に当該児童等の出席停止措置等を行うこと、などを求めている。犯罪行為として取り扱われるべきと認められるものは警察と連携して迅速に対処すべきだとしている。
 体罰等に関しては、学校の懲戒と体罰の区別を明確化し、関係機関が率先して体罰根絶宣言を行うなど、体罰禁止を徹底する。教員や部活動指導者による体罰には厳正な対応で臨むこと、国は子どもの自発的行動を促す部活動指導のガイドラインを策定すること、部活動指導者に対しては、コーチングや各種メンタルトレーニングなど体罰や不適切な指導によらない適切な指導方法を体得できるよう徹底すること、部活動自体、勝利至上主義に陥らず、子どもの生涯全体を視野に入れ、発達段階に応じた心身の成長を促すことに留意する必要性を強調している。


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