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記事2013年4月23日 2270号 (1面) 
自民党教育再生実行本部大学・入試の抜本改革部会
私学団体会長等から意見聴取
入試は私大の自主的判断で達成度テストで高校教育形骸化する恐れ
 自由民主党教育再生実行本部の「大学・入試の抜本改革部会」(主査=山谷えり子・参議院議員)は四月二十二日、東京・永田町の自由民主党本部で第二回部会を開き、昨年十一月十五日に同本部の大学教育の強化分科会がまとめた中間報告「大学ビッグバン〜知と価値の創造〜」に関して、日本私立大学団体連合会の黒田壽二副会長、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長、全国専修学校各種学校総連合会の小林光俊会長、東京大学の佐藤愼一理事(教育・入試・評価担当)から意見聴取を行い、意見交換を行った。昨年十一月の「大学ビッグバン」では、「大学力」は国力そのもので、質・量両面の充実・強化が必要とし、そのための具体策として@大学強化のための設置基準の見直しA世界トップレベルの大学強化B入試の抜本改革と高校教育の質保証Cギャップターム、九月入学を促進し、体験活動を必修化D質の高い大学教育への転換E職業と直結した技能職を育成する地域密着型大学支援F大学村≠フ解体―開かれた教育と研究体制づくりを提言した。意見聴取の中で黒田・私大団体連副会長は、同分科会が入試の抜本改革として、日本版バカロレアを前提にした論文、面接、多様な経験重視で潜在力を評価する入試改革を提言していることを取り上げ、「入学者選抜においてどのような入学試験を採用するかは、私立各大学の自主的判断に委ねられるべきことが尊重されなければならない」と指摘。質の高い大学教育への転換でも「私立大学における教育の質保証は各大学によって主体的に担われるべきで、法省令による政府の規制は最小限に留められるのが適切」などと、私学の自主性尊重を訴えた。
 続いて吉田・中高連会長は、高校在学中に何度でも挑戦できる達成度テストを提言していることに触れ、学年やカリキュラムに関係なく、達成度テストを受験できるとなれば、高校教育は内部から形骸化する恐れがあり、達成度テスト合格者が大学入学資格を得れば学習意欲を失い、現在のAOなどの問題点を拡大させることにもなりかねない、などと指摘、中教審高校教育部会が検討している「任意参加型の到達度テスト」との交通整理≠フ必要性を訴えた。
 小林・全専各連会長は、学術(大学)に向かない若者がいること、国はものづくりなどを評価し、高等教育の完全な複線化(アカデミック、プロフェショナル)した教育体系を構築すること、専修学校等を活用して日本は世界、アジアの職業教育のハブ機能を果たすべきだなどと訴えた。
 東京大学の佐藤理事は、よりグローバルに、よりタフに学生を育てるための教育改革の現状、具体的にはギャップターム構想等を報告した。それによると秋季入学前の約半年、先端の研究や社会との接点を持つ多様な経験を通じて、大学で学ぶ目的意識を明確化、偏差値重視の価値観をリセットし、学ぶ姿勢へ転換を促していくことを検討していると報告した。
 同部会では五月中には提言をまとめる予定。


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