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記事2014年9月13日 2317号 (2面) 
OECD 図表でみる教育2014年版を発表
日本 教員の質保証で複数の要件
継続的な 職能開発支援では課題

 OECD(経済協力開発機構)は、9月9日、『図表でみる教育2014年版』を発表した。

 この報告書は、34の加盟国に加えて、多くのG20参加国等における教育システムの構造、財政、成果等をまとめたもの。

 それによると、日本では2000年から2012年の間に高等教育を修了した成人の割合が、34%から47%に拡大、現在、OECD加盟国中2番目に大きな割合になった。日本の高等教育の質に関しては、2012年の成人のスキル調査で、日本の高等教育を修了した成人の37%が読解力で最高のレベル4または5の水準にあり、同調査に参加した24カ国・地域中最も高い割合となっていた、と指摘。このように日本では経済成長に貢献できる高い能力を持つ人材は多く、特に女性に関しては2000年の時点で25―34歳の層の49%が高等教育を修了、2012年にはその割合が61%まで上昇した。この数値はOECD平均(45%)を大きく上回るばかりか、同等の教育を修了した同年齢の日本人男性の割合(56%)を上回った。 

 しかし就業率に関して女性は同等の教育を修了した男性を大きく下回っており、大学レベルまたは上級研究学位を持つ男性の92%が就業しているのに対して同等の教育を修了した女性の就業率は69%で、OECD平均の80%を大きく下回っていた。また、就学前教育をより低年齢の幼児に広げることは、幼児が教育面で恩恵を受けるだけでなく、より多くの女性が労働力として社会参加することに寄与するだろうとしている。

 さらに日本の若い世代の60%近くが高等教育を修了しているのに対して、年長世代で高等教育を修了している人の割合は35%に満たず、36カ国中、韓国、ポーランドに次いで3番目に大きな世代間格差が生じている。読解力においても、55―64歳人口の内、成人のスキル調査で最高のレベル4または5の水準にある人は10%に満たないのに、25―34歳では30%以上がその水準に達している。

 一方、教員に関しては、日本では教員志望者・新任教員に複数の要件を課し、質の高い教員の確保に努めているが、同報告では、日本では中学校教員志望者のための教育実習は20日しかなく、データが存在する22カ国のほぼ半数の国では教育実習は70日から120日となっている、としている。

 また、2013年のTALIS調査では、日本の教員は、職能開発に比較的高いニーズを持っているが、他のOECD加盟国の教員ほど支援を受けておらず、免許状更新講習でもあまり公的な経済的支援はないと報告している。
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