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記事2016年1月23日 2363号 (2面) 
高専を考えるプロジェクトチームが初会合
海外展開など時代の要請への対応検討
3月には提言取りまとめへ
自由民主党文部科学部会

自由民主党政務調査会文部科学部会(部会長=木原稔部会長=衆議院議員)内に「高等専門学校を考えるプロジェクトチーム」が設置され、1月20日、東京・永田町の党本部で初会合が開かれた。座長は坂本哲志・衆議院議員。このPTについて坂本座長は自身のホームページの中で、「有為な人材を輩出している高等専門学校がこれからも経済界、技術界に貢献し、時代の要請に応えていくためにどのような施策が必要なのか議論を重ね、最終的に提言として取りまとめていきたいと考えている」としている。  20日の初会合では、文部科学省より高等専門学校制度に関する概要や、同省高等教育局内に設置されている「高等専門学校の充実に関する調査研究協力者会議」(座長=三島良直・東京工業大学長)の検討状況等が説明されたほか、一般社団法人日本経済団体連合会教育問題委員会企画部会委員の輿亮・富士通潟vロダクト事業推進本部人材開発部長から高等専門学校出身者に対する企業の評価について聴取、その後、自由討議が行われた。  同PTは、今後、2月から3月中旬にかけて3回程度の会議を開き、提言を取りまとめて、党内手続きを経た後、同省に提言の申し入れを行う予定にしている。  高等専門学校の今後の在り方については、既に自民党の「高等専門学校を考える議員連盟」(会長=河村建夫・衆議院議員)が昨年9月18日に「提言」を取りまとめており、その中では、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の議論の中で高等専門学校の位置付けを明確にする地域の工業高校と連携を強化する修業年限、学位授与の在り方を研究するサイバーセキュリティ人材などの育成を強化する起業するスピリットを養成する県立工業高校を高専化するなど高専教育を拡充する既存の分野以外への学科展開や既存の学科再編の必要性について研究する地域企業への就職を促すためのインセンティブを検討する高専の教育システムを海外展開(ハード・ソフト両面)する留学生を積極的に受け入れる高専に対する予算措置を拡充する等を提言している。  また、文科省の「高等専門学校の充実に関する調査研究協力者会議」は昨年5月の初会合以降、今年1月12日までに7回の会議を開き、論点整理を経て、平成27年度末ごろまでに審議のまとめを行う予定。これまでの議論では、中学校卒業後の5年間一貫教育という世界的にも類を見ない制度であることから現状の制度を維持して、必要に応じて専攻科を充実する、国際通用性を確保するために現在、卒業生に付与されている「準学士」の称号を「学位」にすることや、高専の海外展開に関しては、相手国のニーズ・教育制度等の個別の状況を踏まえ、JICA等関係機関と連携することや日本企業の海外現地法人との連携強化等の意見が出されている。  高等専門学校は別表の通り、国立が大半を占めるが、私立3校を含め全国に57校が設置され、専攻科を加え約5万7千人が学んでいる。就職先企業の71%が高専卒業生に満足しているなど評価が高いが、政府の日本再興戦略や教育再生実行会議からは、社会や企業のニーズを踏まえた学科再編の促進、新分野への展開に向けて現在の学科構成の見直しの必要性等が指摘されている。また高専のグローバル化推進や高専の海外展開など国際交流の推進も課題の一つとされている。  1月20日の「高等専門学校を考えるプロジェクトチーム」の初会合では、経団連から高専生の志や熱意の高さを評価する一方で、職場で求められる交渉力や企画力にやや弱さを感じるといった評価が聞かれた。また、期待としては、教育の良さの維持や大学・産業界との連携の深化、多様性(女性、留学生、学外交流)を増すこと、英語学習の強化などが指摘された。  次回は独立行政法人国立高等専門学校機構や高専生が編入学する技術科学大学からのヒアリング等を行う予定。


 

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