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記事2016年3月3日 2367号 (1面) 
高等学校基礎学力テスト(仮称) 社会での自立に必要な力問う出題に
高大接続システム改革会議開催
レベル、科目、時期等に応じ問題提供
個別大学の入学者選抜 AO、推薦にも学力試験

文部科学省の高大接続システム改革会議(座長=安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長)は、2月24日、同省内で第12回会議を開き、(1)多面的な評価検討ワーキンググループの議論のまとめ、(2)「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の出題の方向性等、(3)中央教育審議会大学分科会大学教育部会での高大接続改革に係る検討状況、(4)個別大学の大学入学者選抜改革について検討した。


このうち「高等学校基礎学力テスト」については、事務局(文科省)が問題の収集・作成・精査・確定等の方針策定に向けた基本的考え方(素案・たたき台)を提案、それを基に議論を行った。  たたき台では、同テストは社会で自立するために必要な基礎学力の定着度合いの目安を把握する仕組みだとし、CBT方式での実施を前提に、実施主体が全国の教育委員会や高校等から既存問題を収集、同時に良質な出題パターンを基に類似問題を作成、その難易度等を確認して、蓄積。高校等が希望するレベル、受験科目、実施時期等に合わせて問題セットを提供する、としている。  出題教科・科目については、平成31年度導入当初は、「国語総合」「数学T」「コミュニケーション英語」を上限とし、義務教育段階の内容も含める。出題方法は選択式、短答式(記述)、記述式、英語4技能評価等の導入を目指す。出題の方向性(2面に詳細)に関しては、出題のねらいを「社会で自立し、社会に参画・貢献していくために必要な力」として、さまざまな場面で生かされることを想定しての出題を目指す。  こうしたたたき台に委員からは、「任意の時期に任意の学校が試験を実施して全国的な比較ができるのか」「従来の中間テスト、期末テストと何が違うのか」「レベルがいろいろあって(結果は)段階で表示というが、もう少しシンプルの方がいいのではないか」「テストのレベルを選んだ時に各個人が“地図上”で今どこにいるか分かるようにしてほしい」などの意見が聞かれた。  また個別大学の大学入学者選抜改革については、事務局(文科省)から「論点メモ案」が示された。この中ではディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーを踏まえ策定されるアドミッション・ポリシーに基づき「学力の3要素」を多面的・総合的に評価するものに改善する必要性を指摘。AO入試、推薦入試についても学力検査を課し、一般入試に関しては、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」をより適切に評価するため、「調査書」「高校までの学修や活動の履歴」「学修計画書」などの資料の積極的活用を検討すべきだとしている。詳細については、今後、国公私立大学や高校関係者等による大学入学者選抜方法の改善に関する協議の場でより具体的な在り方を検討するよう提案している。こうした提案に委員からは「大学の多様性も踏まえたきめ細かなルールが必要」「外国人留学生は対象なのか」「入試が多様化すれば大学は忙しくなる。単純化、簡素化も大事」などの意見が聞かれた。  多面的な評価検討WGの議論のまとめに関しては、荒瀬克己主査(大谷大学文学部教授)が欠席のため事務局(文科省)が、高校段階の評価の在り方については、目標に準拠した観点別学習状況の評価の推進、高校での活用を念頭においた民間検定等の積極的活用、指導要録の改善、小・中学校を中心とする「キャリアノート」作成、高校段階ではポートフォリオ評価の観点やキャリア教育の観点を取り入れた取り組みなどの具体策を検討していくとしている。  こうした報告に委員からは「多面的な評価による入試は相当なコストがかかる。コストを真剣に考えるべきだ」などの意見が出された。


 

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