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記事2016年3月3日 2367号 (1面) 
中教審の新高等教育機関制度化特別部会
既存の大学等との違いに議論集中

中央教育審議会の「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会」(部会長=永田恭介・筑波大学長)は2月26日、文部科学省内で第11回会合を開いた。今回で議論に区切りを付ける予定だったが、いまだ意見がまとまらず、3月15日開催予定の次回会合で引き続き議論することとなった。その後、大学教育部会や中教審総会での審議、パブリック・コメントなども踏まえて審議経過報告を公表する予定。  今回も議論が集中したのは、既存の大学等との違いについて。審議経過報告案には、大学における職業教育の問題点などが加筆されたが、委員から「既存の大学ではできないことの例示としてこれは適当なのか」との疑問が付された。「学術的な知識を基盤とした『看護学』の教育を行う看護系大学が急増したが、一方、新人看護職員の臨床実践能力の低下などの指摘があった」といった旨の記述で、これについては「具体例を入れると議論の方向性が変わってしまう」との指摘もあり、部会長は「どう扱うかもう一度考える必要があるだろう」とした。  ただ一方、「既存の大学でも同等の職業教育ができる」といった新機関の必要性そのものを疑問視する声に対しては、「大学でも可能ではあるが、そこに制度の保証がないからこの新機関の仕組みづくりがあるのでは」「大学とは主要な目的が違うということが肝要」「企業のニーズと大学教育とのミスマッチが現にある以上、新しい制度が必要だろう」「既存の大学はやはりゼネラリストを養成するという前提での職業教育だ」といった意見があり、新機関の位置付けはおおむねその方向性で固まった。  その他、「社会の実務は新陳代謝が激しく、目先の知識や技術はすぐ陳腐化する。実践的な職業教育といっても基礎の重視が求められる」など教育内容に関する意見、「高校生が『ぜひ入学したい』と思えるものにしなくてはならない」といった受験生側の視点に立った意見、「工業高校などからの進学先としての性格も備えるべきだ」といった高大接続に関する意見、「『女性が輝く社会』の視点も欲しい」との意見などが出た。

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