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記事2017年11月3日 2424号 (1面) 
時代を先取りする私学を研究討議
全国私学教育研究集会愛媛大会開催
私学を取り巻く情勢報告
今後の学校づくりでパネル討議も

 「時代を先取りする私学〜こころざしは高く、根は深く〜」を研究目標にした「平成29年度全国私学教育研究集会愛媛大会」が10月19・20の両日、松山市内のホテルに私立中学・高校の理事長、校長、教員ら約550人が出席して開かれた。国際化、先の見えない時代、AI技術の拡大など激しい環境変化の中で、参加した教員は自身の学校で今後、どういう人材を育成していくべきか、私立学校教育はどのような方向を目指すのかなどについて、教育改革等の動向に関する報告や、私学経営、特色教育など六つの部会での研究討議等を通じ考えた。


この研究集会は、一般財団法人私学研修福祉会が主催、一般財団法人日本私学教育研究所が協力、中国・四国地区私立中学高等学校連合会と愛媛県私立中学高等学校連合会が実施、愛媛県、松山市、日本私立中学高等学校連合会が後援した。初日、開会式後の全体会では日私中高連の吉田晋会長と日私教研の中川武夫所長が「教育政策と私学情勢について」との演題で最新情勢等を報告。このうち吉田会長は、文部科学省の平成30年度概算要求ではICT予算の増額を要求したこと、しかしデジタル教科書については文科省の位置付けがトーンダウンしたこと、私立中学校等就学支援金に関しては予算を上回る需要が見込まれること、公立学校の特色化、県外での生徒募集等についても文科省に質問状を出して見解を質したこと、第3期の教育振興基本計画の審議経過報告の中に私立学校の振興の項目が立ったことは評価できるが民間資金の活用や寄附金に頼ることについては規模の小さな高校等法人では難しいことなどを指摘した。また、中川所長は教育研究所の立場から次期学習指導要領のポイントに関して、私学の場合、教育課程は建学の精神(創立者の理想)を具現化するためのもので個人商店型の教科指導から脱却して教科の壁を超え校外のネットワークも活用して総合力を発揮する必要性を強調。グローバル・AIに関しては、学校の多国籍化が加速、それに伴い校則等の再検討も必要になること、AIの時代ではデータサイエンティストの育成が急務なこと、私学の働き方改革に関しては、自校流の働き方改革が重要で学校運営上見直すべきものに関しては、「変えるべきものを変える勇気」「変えてはならないものを変えない包容力」「それを見極める英知」が必要と指摘した。  2日目からは部会ごとに研究討議が進められ、そのうち私学経営部会では講演やパネルディスカッションが行われた。「時代を先取りする学校づくり」をテーマにしたパネル討議では、時代の変化に対応した人づくりを意識しつつも「経験値の教育にもっと光が当たらなければいけない」「専門バカばかり育っていないか」「付加価値競争で疲れ果てている。本体価値を追い求めるべきだ」といった教育の原点に立った対応の必要性を指摘する意見も聞かれた。(近く詳報)

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