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記事2019年12月13日 2946号 (1面) 
デジタル教科書、本格導入へ
初等中等教育分科会で論点取りまとめ審議
文部科学省 一気にICT活用に舵を切る 
教師の指導力向上も論点 

中央教育審議会の初等中等教育分科会(分科会長=荒瀬克己・大谷大学文学部教授)は、12月13日、文部科学省で第124回会合を開き、同分科会の下に置かれている、新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会が策定した「論点取りまとめ案」について審議し、基本的に了承した。


新しい時代の初等中等教育の在り方に関しては、教育課程や教師、高校教育の在り方など検討中の事項も少なくないが、この日の論点取りまとめ案は、安倍総理が先般、義務教育学校に児童生徒1人1台のコンピューターを整備する方針を打ち出し、令和元年度補正予算案に必要な予算の一部2318億円が盛り込まれる(12月13日閣議決定)のを受けて、これからの学びを支えるICTや先端技術の効果的な活用について、文部科学省の従来の方針を一歩踏み込んだ内容となった。  例えば、従来、あくまで紙製が主としていた教科書について、令和2年度中にデジタル教科書の在り方について方向性を提示するとしており、その上で令和4年度には高校のデジタル教科書の導入拡大、令和6年度には小学校の教科書改訂を契機としたデジタル教科書の本格導入、令和7年度には中学校で同様にデジタル教科書の本格導入との工程が想定されている。  その論点取りまとめ案では、ハード面としては、1人1台のコンピューターの実現のほか、安定・安心・高速大容量の通信ネットワーク環境、クラウド活用もセットで推進し、自治体や学校等が計画的に取り組める支援策(複数自治体による広域調達、標準モデルや調達仕様書例の提示等)を提言。またソフト面ではデジタル教科書・教材等の先端技術の活用で知識・技能の定着に係る授業時間を短縮し、探求的な学習等に時間をかけることが可能になるとし、良質な学習リソースの開発・導入、統合型校務支援システムの導入促進を求めている。人材面では、教師のICT活用指導力等の向上を段階的・継続的に図る機会の確保、ICT支援員・企業人材などの活用促進を提案。  教師の在り方や果たすべき役割、指導体制の在り方、ICT活用指導力の向上方策については令和元年度中を目途に方向性を提示。先端技術の活用等を踏まえた年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方、学年を超えた学びについては早急に検討するとしている。  論点取りまとめ案では、このほか令和4年度を目途に小学校高学年から教科担任制を本格的に導入すべき、としており、教科担任制に必要な教員定数の確保の在り方、小中学校の連携の在り方、義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方、教育課程の在り方等を検討していくとしている。この日の取りまとめ案は会議での意見等を反映した後、令和2年1月24日開催の中教審総会に報告の予定。

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