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記事2019年2月13日 2467号 (1面) 
第198回国会、1月28日に召集
文部科学省 学教法改正案など4法案提出へ
“高等教育無償化”法案も

第198回国会(常会)が1月28日に召集され、2月6日現在、平成30年度第2次補正予算案が衆議院を通過、参議院予算委員会では毎月勤労統計不正問題などを巡る質疑が行われている。会期は6月26日までの150日間。文教関係の法案の国会提出、質疑はもう少し先になるが、文部科学省からは今国会に当面、4本の法案が提出される見通しだ。


4本の法案とは、(1)「大学等における修学の支援に関する法律案(仮称)」、(2)「学校教育法の一部を改正する法律案」、(3)「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案」、(4)「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案」。  このうち(1)の「大学等における修学の支援に関する法律案(仮称)」は、消費税の財源を使い2020年4月(2020年度の在学生〈既に入学している学生も含む〉)から真に支援が必要な低所得者世帯の学生に授業料減免と給付型奨学金を支援するための法案(支援内容は左表参照)。ただし支援措置の対象となる大学等には要件(例えば実務経験のある教員による授業科目が標準単位数の1割以上、法人の理事に産業界等の外部人材を複数任命など)があり、国会の委員会質疑で議論を呼ぶ可能性もある。  (2)「学校教育法等の一部を改正する法律案」は、大学等の管理運営の改善等を図るため、大学等の教育研究等の状況を評価する認証評価において当該教育研究等の状況が大学評価基準に適合しているか否かの認定を行うこととすること、国立大学法人が設置する国立大学の学校教育法上の学長の職務を行う「大学総括理事(仮称)」を新設、また学校法人の役員の職務および責任に関する規定の整備等の措置を講じるもの。学校法人制度に関しては私立学校法の一部を改正する。  具体的には、文部科学大臣所轄法人における中長期計画の策定、役員の責任の明確化(善管注意義務、第三者に対する損害賠償責任、役員報酬基準の策定、利益相反行為の対象拡大など)、監事機能の充実(理事の行為の差し止め請求など)、評議員機能の充実(中長期計画の策定の際の意見聴取など)、貸借対照表、収支計算書、事業報告書、監事監査報告書等の公表(文部科学大臣所轄法人)、寄付行為・役員名簿の公開、解散命令時の所轄庁による適切な清算人の選任による清算手続きおよび破産申し立ての円滑化――を行う見通し。  (3)の「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案」は、著作物等の公正な利用を図るとともに著作権等の適切な保護に資するため、著作権等を侵害する自動公衆送信等による被害の拡大を防止するための措置および著作権者等から許諾を得て著作物を利用する権利について第三者への対抗力の付与等の措置等を講じるのが目的。


 


法学部に法科大学院と連携する「法曹コース」設置


(4)の「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案」は、中央教育審議会・法科大学院等特別委員会で議論されてきた、法科大学院を設置する大学と当該法科大学院における教育との円滑な接続を図るための課程を置く大学との連携に関する制度の創設等を行うもの。  具体的には、法学部に「法曹コース(仮称)」の設置を奨励し、法学部が法科大学院と連携して体系的・一貫的な教育課程を編成することにより、法曹志望が明確な学生等に対して、学部段階からより効果的な教育を行い、また優れた資質・能力を有する者が早期に法科大学院に進学できる仕組みを明確化する。  法学部での法曹コースは2年次から始まり、優秀な学生は3年次修了時点で法科大学院に進学できる(飛び入学・早期卒業)。地方の法科大学院を設置していない大学の法学部が他大学の法科大学院と連携して法曹コースを設置すること、地方における法曹養成機能の充実への期待もある。新制度の適用については2020年度からの見通し。なおそれと併せて、法科大学院の法学未修者教育の質の保証を十分確保するため、2019年度から「共通到達度確認試験」を本格実施する。  法科大学院に入学した法学未修者が1年次から2年次の進級に当たり、各法科大学院が共通して進級判定を行う仕組みとして活用される。法学部の法曹コース修了生の法科大学院おける入学者選抜等として活用することも期待されている。  このほか、自民党の遠藤利明衆議院議員ら超党派の議員7人が昨年12月に国会に提出した議員立法「学校教育の情報化の推進に関する法律案」は1月28日に衆議院の文部科学委員会に審査が付託されている。同法案は学校教育の情報化推進を目指して国や地方公共団体の責務等を規定している。


 

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