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記事2020年1月23日 2499号 (1面) 
大学入試のあり方に関する検討会議が初会合
年末までに審議内容取りまとめ
文科大臣本音の議論を促す発言も

 大学入試センター試験に代わる新しい「大学入学共通テスト」における英語4技能民間試験の導入や記述式問題の実施の見直しを受けて、文部科学省が昨年末、新たに設置を決めた「大学入試のあり方に関する検討会議」の第1回会議が1月15日、萩生田光一・文部科学大臣も出席して同省内で開催された。

 新会議の検討事項は、英語4技能評価のあり方、記述式出題のあり方、経済的な状況や居住地域、障害の有無等にかかわらず、安心して試験を受けられる配慮、その他大学入試の望ましい在り方の4項目で、今年末までに審議内容を取りまとめる予定。委員は有識者委員が11人、団体代表が7人。そのほか大学入試センター理事長がオブザーバーで参加している。座長は三島良直・東京工業大学名誉教授・前学長。

 英語4技能民間試験導入の見直しなどは社会的に大きな関心事となったため、初会合には多くのマスコミ関係者が詰め掛けた。審議の冒頭、有識者委員の1人が、「白紙からの検討が前提と聞いている」と発言。「子供の貧困対策である高等教育の無償化(の効果)が打ち消されないような改革をしてほしい。当事者である高校生の意見を重く受け止めるべきだ」など経済格差を縮める大学入試改革の実施を迫る意見が出された。萩生田文科大臣は「(議論を)やり直すに当たって服の上からかくようなことをしてはだめ」などと語り、一度、非公開で会議を持ち本音で議論をすべきで、会議に提出する資料の数値についてもかっこをつけてはいけないと、事務方を諫(いさ)める発言もあり、一種異様な雰囲気の中で委員がそれぞれの大学入試改革に対する思いを語ったが、委員の目指す方向性はさまざまといった印象で、今年の年末までに関係者がある程度納得のいく結論にたどり着けるかは不透明だ。

 そのほか委員からは、「なぜこうなったかをまず検証すべきで、試験を公平公正に行うには専門家の知見が必要だ」、「議論をゼロに戻すということだが、教育再生実行会議の提言の前まで戻すのか」、「できるものとできないものを明確に」、「経済格差、地域格差等に関して公正性を担保する施策を」、「現在の入試でも受験機会の格差はある。大学側が受験生の様々な背景を考慮して合否を決めるべきだ」などの意見が出された。

 今回の再検討によって新しい大学入試(新学習指導要領に対応した最初の大学入試)は令和6年度に行われる予定。
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