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記事2020年10月23日 2525号 (2面) 
大学入試のあり方検討会議
さまざまな方面から意見聴取
会設置から9カ月経過英語4技能の扱いなお見通せず

 さまざまな問題から昨年末、英語民間試験を活用しての「大学入試英語成績提供システム」と、大学入学共通テストにおける記述式問題の導入見送りを決めた文部科学省。今年1月には、改めて大学入試における英語4技能の評価や記述式問題を含めた大学入試のあり方を話し合う検討会議を発足させ、今年1月15日には初会合を開催。10月23日までに15回の会議を開き、さまざま方面から広く意見聴取等を行っている。


 しかし検討会議設置の目的となった2点について現時点までに改革の方向性は見通せない状況だ。当初は年内に意見を集約する、としていたが、現在は、新学習指導要領に対応した令和6年度実施の大学入試に係る予定の通知を令和3年夏までに発出する必要があることから、それまでに審議のまとめを行う予定だ。ここでは直近の第15回会議の模様を掲載する。



 文部科学省は10月16日、大学入試のあり方に関する検討会議(座長=三島良直・日本医療研究開発機構理事長)の第15回会議をWEB会議方式で開催し、整理しておくべき事項について議論した。会議の冒頭、萩生田光一文部科学大臣は、引き続き大臣を務めるとあいさつし、「今日はこれまでの議論を踏まえ、英語4技能の評価や記述式出題の在り方の前提を議論していただくと聞いている。活発な議論をお願いしたい」と述べた。


 最初に事務局から、10月15日開催の政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で、濃厚接触者とされた者の大学入学共通テスト受験について、PCR検査結果が「陰性」で、受験当日も無症状、かつ公共の交通機関等を利用しないこと、受験時は別室で受験する等の条件をクリアできれば受験を認めることが了承されたとし、文部科学省では今後、具体的な実施方針を策定し、速やかに大学に周知するとした。またこれに基づく必要な対応は大学入試センターとも協議して対応していくとした。


 この日の議論については、英語4技能の評価や記述式問題の検討に当たって前提となる原則や観点を整理したいとし、川嶋太津夫副座長が提出した資料に基づき説明が行われた後、議論が行われた。説明では、(1)大学入試に求められる原則等、(2)大学入学者選抜を巡る諸課題の整理、(3)共通テストと個別選抜の役割分担、異なる選抜区分の意義と役割に分けて述べられた。このうち(3)については、「共通テストと個別選抜の方向性として、修了試験は高校側が行い、年度末に入試をすることの負担を徐々に解決してはどうか。共通テストについては、制約や役割を踏まえた上で、確実性・安定性・信頼性を一層重視した試験にする方向で改革する。また個別選抜については、AP(アドミッションポリシー)に即して共通テストで測りにくい資質・能力に重点を置く方向で改革してはどうか。その際、共通テストや外部検定試験で代用できる評価を活用し、できるだけ効率的効果的な入試にしてはどうか。さらに総合型・学校推薦型選抜について、多面的・総合的評価に最も適した選抜形態であり、多様なキャンパスを実現できること、感染症耐性の向上やチャンスの複数回化が可能となるとし、これを一層推進してはどうか。その際、学力不問を是正すること、適切な総合型選抜への切り替え、地域・経済格差への配慮、オンライン面接等を活用してはどうか」などと説明。


 続いて委員による意見交換が行われた。(1)大学入試に求められる原則等に関しては、「大学の主体性をどのくらい発揮できるかは大学として考えていかないといけない。大学は、厳格な定員管理がある上で質のよい入学者をいかに確保しようかと腐心している」「高校教育を変えることを大学入試の目的としてはならないが、好影響を与える視点での大学入試改善を行うことも重要だ。外国語の能力については目標設定すべきだ」などの意見があった。


 (2)大学入学者選抜の諸課題についての意見では、「問題作成の大学の負担は増大しており、限界だ。コンソーシアムで大学が協力して問題を作成する、過去問題を活用するなどについて社会的理解を得ながら進めていければ」などの意見が聞かれた。


 高校関係者委員は「共通テストを総合型選抜などへ使っていこうという動きなのか。共通テストには高校3年次に学んだことも入っている。新しい共通テストの実施時期は動かせない」とした。 


 保護者の立場の委員からは「率直に言って、今の大学入試はいじり過ぎた。ある程度の成績がある者が大学に進むのが原則だろう。従って、(共通テストは)1次試験として導入すると決めて、その上で個々の大学が入試をするのがよいのではないか」と述べた。


 (3)共通テストと個別選抜の役割分担、異なる選抜区分の意義と役割についての意見では、「作問に過度の負担がかかるのは入試問題を全部公開するためリサイクルができないからだ。原則非公開にすれば負担は減るだろう。英語4技能試験については必要なら大学入試センターが中心になって進めるべきだ。大きなテストでは国際的なガイドラインがある。入学試験のガイドラインが必要だ」「国大協では総合型・学校推薦型選抜の中に民間英語試験を入れる状況だ。一般入試でもそれを利用することはある。ただ、全体の一般入試に各大学が英語の4技能を測ることは不可能だ。大学入試センターが中心になって英語4技能の試験を作ってほしい」などの意見が出た。

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