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記事2020年10月3日 2523号 (1面) 
私立学校施設・設備等大幅増額要求
文科省令和3年度概算要求提出
私学助成関係予算4378億円+事項要求
耐震改築補助制度の2年延長も


 文部科学省は9月30日、令和3年度概算要求を財務省に提出した。コロナ禍のため例年より1カ月遅れの概算要求となった。また要求額を定めず事項要求のみとしている事業が少なくないのが特徴。この中で私学助成関係予算要求の総額は4378億円+事項要求(前年度予算額4094億円)。


 私学助成関係予算要求の内訳は私立大学等経常費補助が3004億円(前年度比27億円増)、私立高等学校等経常費助成費等補助は1025億円(同8億円増)、私立学校施設・設備の整備の推進が349億円(同249億円増)。このうち事項要求となっているのは、私大等関係では新型コロナウイルス感染症の影響により家計急変した困窮学生に対する授業料減免事業、私立高校等では新型コロナウイルス感染症の影響による家計急変世帯への授業料減免支援、少人数によるきめ細かな指導体制への支援、施設・設備整備では耐震化等の促進に関係した国土強靭化関係予算や少人数によるきめ細かな指導体制への支援。


 私立大学等経常費補助の要求額3004億円のうち一般補助は2777億円(前年度比34億円増)、特別補助は227億円(同7億円減)。  


特別補助には新規事業として「私立大学等における数理・データサイエンス・AI教育の充実」が盛り込まれている。要求額は10億円。これはAI戦略等を踏まえ、文理を問わず全ての学生が一定の数理・データサイエンス・AIを習得することが可能となるよう、モデルカリキュラムの策定や教材等を開発し、社会における具体的な実課題や実データを活用した実践的教育、先進的な取り組みを実施する大学等や、教育連携ネットワークを形成し、AI教育可能な教員を増やすためのワークショップやFD活動等を主体的に実施するなど、他の私立大学等への普及・展開を図る大学等、自大学における数理・デザインサイエンス・AI教育導入に向けて、ワークショップやFD活動に参画する大学等を支援する。  


また特別補助の中の「私立大学等改革総合支援事業」は前年度とほぼ同額の115億円の要求。特色・強みや役割の明確化・伸長に向けた改革に全学的・組織的に取り組み大学等を重点的に支援する事業で、タイプ1「『Society5・0』の実現等に向けた特色ある教育の展開(選定校110校程度)、タイプ2「特色ある高度な研究の展開」(同50校程度)、タイプ3「地域社会への貢献」(同170校程度、20〜40グループ含む)、タイプ4「社会実装の推進」(同95校程度)。  


私立高等学校等経常費助成費等補助の内訳は、一般補助が859億円、特別補助が137億円、特定教育方法支援事業が29億円。特別補助の中には新型コロナウイルス感染症に対応した追加的人材の配置等に28億円を要求している。  


私立学校施設・設備の整備の推進349億円の内訳は耐震化等の促進が47億円、教育・研究環境の整備が302億円。  


耐震化等47億円の要求の中身は、耐震改築(建て替え)事業が14億円、耐震補強事業が27億円、非構造部材の落下防止対策等安全対策、利子助成事業が6億円。この中で耐震改築への補助制度は令和2年度までとなっているため、さらに2年延長を要求している。  


教育・研究環境の整備の302億円の中身は、新型コロナウイルス感染症対策として空調・換気設備・トイレのドライ化、避難所に指定されている学校施設(小・中・高校、中等・義務・特支)のバリアフリー化への補助制度の補助率のかさ上げ(1/3から1/2へ)、防犯対策、エコ改修等が184億円。私立大学等の教育・研究用装置や設備、ICT施設の改造工事等が83億円、私立高校等ICT教育設備整備費が30億円など。


一般財団法人日本私学教育研究所への補助金は令和2年度と同額の2018万9千円を要求している。




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