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記事2020年11月3日 2526号 (1面) 
私学団体含め28団体から意見聴取
新時代の初中教育の在り方特別部会 集中的に団体ヒアリング
全日私幼連、日小連、中高連が意見表明
ICT環境整備など要望

 中央教育審議会初等中等教育分科会の「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」(部会長=荒瀬克己・関西国際大学学長補佐)は10月28日、第16回会議を開き、11の教育関係団体から審議の中間まとめ「令和の日本型学校教育の構築を目指して」について意見聴取した。同特別部会は既に10月15日に指定都市教育委員会協議会など3団体から、10月22日には全国知事会など4団体から、10月29日には全国高等学校長協会など10団体から意見聴取をしており、年度内には答申を取りまとめる見通し。


 第16回会議では、私学団体からは全日本私立幼稚園連合会(香川敬会長)、日本私立小学校連合会(重永睦夫会長)、日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長)の3団体が意見を述べた。


 全日私幼連からは加藤篤彦・教育研究委員長(武蔵野東第一・第二幼稚園長)が意見を述べた。その中では、コロナ禍の下で家庭の事情で登園できない幼児が一定数存在しており、リアルな保育場面と当該家庭をオンラインでつなぐことで保育への参加と、その後の登園意欲の維持にICTが有効に働くこと、また家庭との双方向性のある情報共有による保護者への支援、三密を回避しての教員研修、規模の小さな幼稚園の業務改善でもICTの活用が重要なこと、さらに特別な配慮が必要な幼児の増加への対応では園内体制整備(人的支援)を要請した。


 日本私立小学校連合会は重永会長(東京都市大学付属小学校長)が中間まとめの複数の箇所を取り上げ、意見を述べた。中間まとめで従来の社会構造の中で行われてきた「正解主義」や「同調圧力」への偏りがある、と指摘した点については、私学では正解を出すことよりはプロセスを大切にした教育、個性を尊重する教育を実践してきており、決して「正解主義」、「同調圧力」に流されていないと明言。また、中間まとめが「憲法第14条(法の下の平等)及び第26条(教育を受ける権利)、教育基本法第4条(義務教育無償)の規定に基づく教育の機会均等を真の意味で実現していくことが必要と指摘している点については、私学教育に対しては十分な財政的な援助がなされていないのが現状だと指摘、公私間格差のない私学への支援が望まれる、と訴えた。また文科省が進める方針の小学校での教科担任制の導入に関しては、学級担任が子供たち一人一人とじっくり向き合うことが大きないじめを防ぐことにつながることを指摘して、教科担任制の導入については、学校裁量とするよう要請。同様に文科省が実現を目指している学級の少人数編成については、私学の場合、財政的裏付けが必要なことを訴え、財政的支援を頼みにせざるを得ない事情の理解を要請した。


 日本私立中学高等学校連合会は平方邦行常任理事(工学院大学附属中学・高校長)が、遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方と新時代に対応した高等学校教育の在り方を取り上げた。その中ではGIGAスクール構想による小・中学校における児童生徒1人1台端末の整備が進む中で高校への普及が置き去りにされていること、教科書については、紙は無償だが、デジタルは有償で壁があると指摘。その上で端末環境のハード面とデジタル教材等の双方について同時にマストアイテムとする必要があり、国公私立を問わず全額を公費で賄うべきだと要請した。


 また現代の文房具であるICTを持って子供が自発的に学習を完結できるものではなく、教師のコーチング機能、ファシリテート機能が一層重要となることに留意して、令和の時代のICTを活用した学びの在り方を構築しなければならないと訴えている。


 一方、新時代の高校の在り方については、令和4年を目途に高校におけるスクール・ミッションの再定義やスクール・ポリシーの明確化を一律的に求めることにしていることを取り上げ、自主性や独自性を旨とする私立高校の教育の特質を損なうことがあってはならないと指摘。また公立高校各校がスクール・ミッションを導入すれば、実質的な「私立学校化」に繋がり、公立高校の存立の趣旨に反する、としている。さらに今回の改革の目玉の一つと言われた普通科改革を論じることは現実的ではないとし、まずは高校の教育課程の大綱化・弾力化の実施を促している。高校通信教育の質保証に関しては、本来の通信制高校の趣旨を逸脱している実態を踏まえ、サテライト施設も含め明確な設置基準の策定、教育課程の全面的見直しを求めている。


 こうした私学団体からの意見表明に特別部会の委員からはさまざまな質問が出されたが、私立小学校での休校中の学びの保障への質問に重永会長は、児童の家庭のパソコンやスマホを活用、授業の動画を配信するなどして対応したこと、ZOOMを活用したオンライン授業については習熟している学校は別として、にわかに取り組んだところでは、課題もあったようで、むしろ授業の動画が繰り返し見られたと答えた。

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