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記事2020年12月13日 2530号 (2面) 
中教審・教員養成部会開く 免許更新制の見直し多くの団体が要望表明
ICT活用で教職課程改革

 中央教育審議会初等中等教育分科会の教員養成部会(部会長=加治佐哲也兵庫教育大学長)は11月30日、第118回部会をWEB会議方式で開催した。この日は会議の前半、教員免許更新制や研修を巡る制度に関する包括的な検証として、全日本私立幼稚園連合会の加藤篤彦教育研究委員長、全国連合小学校長会の大宇弘一郎対策部長、全日本中学校長会の金谷真副会長、全国高等学校長協会の萩原聡会長、全国特別支援学校長会の市川裕二会長の5団体5人から意見聴取が行われた。教育関係団体からは教員免許更新制の見直しを求める意見が相次いだ。このほか日本私立中学高等学校連合会などが書面で意見を提出した。


 この中で全日私幼連の加藤委員長は、幼稚園は零細な組織のため教員を研修に送り出せない園がある中で、教員免許更新制創設で学びの機会を得られたことに感謝。しかし仕事と両立しやすい研修を受講するため幼児教育の学習の機会を有効に活用できていないことは残念だと指摘。更新制をポイント制にして、全日本私立幼稚園幼児教育研究機構などの日常的な研修受講で必要な研修を無理なく無駄なく学ぶ方式への転換を要請した。


 全連小は教員免許更新制の廃止等を含めその在り方の抜本的見直しを要望。全高長は研修の時間確保が容易ではないとし、受講者の負担軽減も考慮してOJTの成果を評価し一部単位によみかえることや、オンライン研修、大学における講座の開講時期の工夫等を含めて現在の教員研修ならびに免許更新制度のより良い改善を要望した。


 特別支援学校長会は教員の更新講習受講をめぐる管理職の負担の重さ、教員免許が有効期限の付された免許状(更新制度がある)であることで教員志望者の減少、免許更新時期が教職を離れる契機になっていることなどを指摘。その上で教育委員会等が実施する現職研修や任意の研修、大学への内地留学、学校でのOJTを更新講習の代替にすることなどを求めた。


 日私中高連は、更新講習が事実上単なる教養講座的なものとなっており、制度の趣旨と事態が乖離し、形骸化していることなどを指摘。こうした事態を避け、極めて重要な教員研修の実効性を高めていくには国が外部人材の活用や教員の専門分野制を図るなど、現実的で効果的な対策を検討すべきだとしている。


 会議の後半では、GIGAスクール構想の実現という大きな変化を受けて、教師のICT活用指導力についてはさらなる向上を図る必要が生じてきたため、教職課程におけるICTの活用に関する内容の修得促進に向けた取り組みに関して、文科省から改革案が提案され、審議が行われた。


 文科省の改革案では、▽「数理データサイエンスAIに対応した科目」を開設している大学は原則、教職課程の学生に当該科目を履修させることを求める、▽新たに「情報機器の活用に関する理論及び方法」(仮称)を事項に追加し、1単位以上修得することを求め、追加された事項に関するコアカリキュラムを作成する、▽教科ごとにICTを活用する授業をまとめた動画コンテンツ等の活用による、「「各教科の指導法」の内容の充実、▽「教職実践演習」でICTを活用した演習(例えば模擬授業等)を行うこと、としている。新しい教職課程等の開始は令和4年4月から。


 こうした文科省の提案に委員からは、「(大学では)リポートやテストも手書きなどローテクな状況にある。ドラスチックに変えていく必要ある」「教科指導でICT活用は大事だが、児童生徒の出欠管理や校務等もICTで扱うことを含める方がいい」といった意見が聞かれた。次回の教員養成部会は12月22日。

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