こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2020年6月13日号二ュース >> VIEW

記事2020年6月13日 2513号 (1面) 
日本私立大学連盟が記者懇談会開く
学生の学びの保障等で公的支援の拡充など要請
定員管理の規制緩和等も

 一般社団法人日本私立大学連盟(会長=長谷山彰・慶應義塾長)は6月8日、東京・市ヶ谷の私学会館で記者懇談会を開き、「社会変化に対応する私立大学の教育政策の提言新型コロナウイルス感染症の拡大による学生の学びの保障と変化する国際社会を見据えて」を発表した。

 同連盟では今般の感染症拡大による社会の変化を大きな契機と捉え、変化する国際社会に対応するためのICTを活用したグローバル化やリカレント教育の進展方策、規制緩和など、私立大学に必要な国等の支援と施策を政策パッケージとして提案・要請したもの。

 提言は、T学びの保障と学生支援、U新型コロナウイルス感染症防止に関する研究、医療体制への支援、Vグローバル化、社会人教育に向けた新たな進展方策と支援、W変化する国際社会に対応する規制緩和からなっており、この中では緊急課題として12項目を、中長期的課題として6項目を提示している。緊急課題では、政府が創設した「学生支援緊急給付金」に関して多額の仕送り(年額150万円以上)を受けていない学生」などの要件が設けられているが、そもそも学納金が高い(私立大学平均122万円)私立大学生にとって極めて不利な条件だとして要件の見直しを要望。また困窮学生へ授業料減免等をする場合でも国立大学には全額補助される一方で私立大学は3分の2補助のため、私立大学生に関しても全額補助を適用すべきだとしている。公的支援策の違いが国私立大学の授業料の差につながっている。そのほか学生の通信環境に関する支援措置の継続、学生の学びのための感染症予防・衛生管理に対する支援、大学のICT化の推進などを求めている。

 規制緩和に関しては大きな状況変化で入試に関して合格者の歩留まり率が掴みづらく定員管理が難しい状況のため、令和3年度には暫定的な緩和措置を取るよう要望している(定員の基準を超えると補助金が減額される)。またオンライン授業が授業の実施場所に大きな変化をもたらすため、学生1人当たりの校舎面積要件の緩和あるいは撤廃、新たにオンライン授業やリカレント教育に要する設備・質の関わる基準の追加を提案している。さらに正規課程に該当しないリカレント教育に係る授業時間数も補助金配分基準の授業時間数に含めるべきだとしている。

 一方、中長期的課題としては、高等教育修学支援新制度の創設ともに、なくなってしまった給与所得中間層の学生への恒久的経済的支援を個人補助として実施すること、初・中・高等教育における英語教育の一体的な改革、学生の定員管理を学部単位の入学定員ではなく大学単位の収容定員とすることなどを要請している。また9月入学の早急な移行は学校現場に混乱を引き起こし、学校経営に重大な影響を与えると懸念している。

密にならないよう広い会場で行われた記者懇談会(6月8日)

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞