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記事2020年7月13日 2516号 (1面) 
第1回質保証システム部会開催
設置基準、設置認可審査、認証評価制度等、一体としてシステムの在り方審議へ

 中央教育審議会大学分科会に新設された「質保証システム部会」の第1回会合が7月3日、ウエブ会議で開催されユーチューブで配信された。同部会では、設置基準、設置認可審査及び認証評価制度等を一体とした質保証システムの在り方について審議する予定。この日は部会長の選任を行い部会長には日本学生支援機構の吉岡知哉理事長が選任された。開会あいさつで吉岡部会長は、「制度に落とし込む作業が必要になる、大変な作業だ」と述べた。


 同部会の検討の主な視点として挙げられたのは、(1)Society5・0、ニューノーマルなど将来を見据えた新しい大学像、(2)大学に対する社会の信頼を確保するための最低限の質保証、(3)グローバルな社会における我が国の大学の国際通用性の確保、(4)実効的かつ効率的な質保証の仕組みの在り方。また、具体的な論点としたのは、現在の質保証の仕組みである大学設置基準、設置認可審査、内部質保証、認証評価、それぞれの機能と役割の明確化、バランスについて定員管理の在り方情報技術の進展を踏まえた授業方法大学の教育研究活動等に係る情報公表の促進について。


 事務局からはこれまでの質保証システムの経緯が説明され、その中で現在、新型コロナウイルス感染症への対応として90%以上の大学等が遠隔授業を実施していると報告。意見交換では、多くの委員から、新しい時代に即した設置基準にすべきだとの意見が上がった。その中で「設置基準の大綱化、規制緩和で質の低い大学が参入してきた。公表内容を義務化すべきだ。大学の撤退プロセスも設置基準に入れる必要がある」「短期大学や地方の小規模大学については地域の観点でも議論し、施設設備も、都市部の大規模大学と同じ基準では厳しい」との意見が出された。


 認証評価については、「国際通用性もディスカッションする必要がある。単位とは何かをもう一度考えて、国際標準の中で議論すべきだ」「グレーゾーンの大学は文部科学省の厳しい措置も必要だろう」「ほとんどの大学で内部質保証が動いていない。モニタリングが必要だ」などの意見が挙げられた。学位については「よく分からない学位がある。学位名称の在り方も考えたほうがいい」との意見が聞かれた。


 オンライン授業について、「テクノロジーを活用したイノベーションが欧米に比べて10年遅れている。図らずもオンライン授業が進んだか、質保証を考えていかなくてはいけない。世界ではMOOCを使った学位プログラムも50ほどあり、質保証を経て大学の単位に置き換えられ社会人も学位をとることができる。日本ではこうしたものはほとんど見られない」との意見があったほか、複数の委員から、新型コロナウイルス感染症で拡大しているオンライン授業は授業の在り方を変えるチャンスではないか、といった意見が上がった。


 定員については、「学部を超えた横断的な大学に変貌していくなら、定員管理も大学全体の定員管理に移行すべきだ」との意見が出た。


 今後は月1回のペースで部会を開き、来年2月までに中間的整理案をまとめたいとしている。

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