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記事2020年7月23日 2517号 (1面) 
デジタル教科書の今後の在り方検討会議
デジタル教科書本格導入へ
令和6年度がターゲットイヤー
年内に大まかな方向性提示

 「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」の第1回会議が7月7日、文部科学省で開かれた。 

 座長には堀田龍也・東北大学大学院情報科学研究科教授が就任した。GIGAスクール構想の前倒し(令和5年度令和2年度)実現を受けて、児童生徒一人一人がタブレット端末等を持った際のデジタル教科書の在り方等について検討する。 

 文科省がターゲットイヤーとしているのは小学校で改訂教科書の使用が始まる2024(令和6)年度で、改訂を契機にデジタル教科書の本格導入を図る方針。  基本的に教科書が児童生徒に使用されるまでに4年(1年目は教科書発行会社による教科書の著作編集、2年目が文科大臣による検定、3年目が採択、製造供給、4年目が児童生徒による使用)を要する。そのため同会議では年末までにデジタル教科書の在り方について大まかな方向性をまとめ、年明けに「中間まとめ」を、来年の5、6月に「最終まとめ」を取りまとめる方針。

 委員は18人。座長代理は東原義訓・信州大学特任教授・一般社団法人教育情報化推進機構理事長。私学団体からは平方邦行・日本私立中学高等学校連合会常任理事(工学院大学附属中学・高等学校長)が委員に参加している。

 初会合では、初めに文科省を代表して矢野和彦審議官があいさつし、「デジタル教科書の成否が学校教育を左右すると言っても過言ではない。また健康面についても意見を頂きたい」などと語った。

 この後、文科省からわが国の教科書制度、令和元年度から制度化された学習者用デジタル教科書等について説明が行われた。それによると令和2年度に小学校向けに発行されている305点の教科書のうち、287の教科書について学習者用デジタル教科書が発行(94%)されており、令和3年度中学校教科書でも学習者用デジタル教科書の発行率は95%だが、紙の教科書と違って有償なことや、紙の教科書に代えて使用する際に制約があることなどから、使用率は10%にも届かない状況。そのためデジタル教科書の使用制限やデジタル教科書を法令上、紙と同様に「教科用図書」と位置付けるべきか、現行の教科書制度の見直しの是非等を検討する。

 また児童生徒の学びの質を充実させるためのデジタル教科書の在り方、教師にはどのような資質・能力が求められるのか、デジタル教科書の使用が増加した場合の懸念される影響、デジタル教科書を宿題や家庭学習で使用する場合の効果的な使用法や留意事項等を検討する。

 委員からは、デジタル教科書共通の使い方の確立、教員の研修の必要性などを指摘する意見が聞かれた。

 第2回会議は7月28日。第3回は8月25日。その後、月に1回程度の頻度で開催の予定。

7月7日に文科省内で開かれたデジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議、
右端はあいさつする矢野審議官

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