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記事2021年12月23日 2565号 (1面) 
第4回通信制高校会議開く
所轄庁の苦境再度明らかに

 「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議(座長=荒瀬克己・独立行政法人教職員支援機構理事長)は12月24日、オンラインで第4回会議を開き、所轄庁による設置認可等を議題に、文部科学省が今年11〜12月に高等学校通信制課程に係る所轄庁を対象として行った実態調査結果が報告されたほか、千葉県と沖縄県の高校通信制課程の担当官から日常的な業務内容や通信制高校を担当する人員、通信制高校(広域)の課題等についてヒアリングが行われ、その後、これまでの審議を踏まえた「検討の論点案」が提示され意見交換が行われた。


 文科省の調査結果によると、通信制課程の設置認可、指導監督等の事務執行担当職員数は令和3年4月1日現在、46都道府県(1県未回答)中、1人が13県、2人が18県、3人が9県、4人が3県、5人以上が3県という状況で、平均は2・3人だった。また広域通信制高校が設置する面接指導施設について直近3年間に書面調査、現地調査等を行っていた県は回答県(27都道府県)の3分の1(9県)にすぎず、半数(14県)は未実施だった。さらに他の所轄庁が認可するサテライト施設については回答県(43都道府県)の74%が把握していないと回答していた。


 ヒアリングでも、千葉県の担当官は法人・本校の把握状況について、「教育内容まで確認はできない」、「県単位による体制の限界」などを訴え、「国で全国一律で教育の質を確保するための基準・調査・組織を設けるべきだ」との私学審議会委員の意見を紹介。沖縄県でも行政職員による調査の限界などを指摘、対応策の検討を求めた。


 こうした状況の中で、文科省(会議事務局)は検討の論点案として、学習面のみならず生活面も含めた担任教師の伴走、オンラインも活用した効果的な学習、サテライト施設について実施校と同等な教育の質・教育環境を確保する方策、都道府県や国の関わり方等の検討の必要性を提案した。委員からは「伴走は困難。福祉につなぐなどの道筋が重要」「都道府県の負担軽減のため国によるデータベースづくり、評価の専門家の養成が重要」などといった意見が出された。次回は1月19日。

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