こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2021年4月3日号二ュース >> VIEW

記事2021年4月3日 2540号 (1面) 
私大協会 地方国立大学の定員増で意見書
マクロ的視点を欠くなかでなし崩し的実施、遺憾
極めて限定的かつ特例的な制度設計等を求める

 日本私立大学協会は3月15日付で、「地方国立大学の定員増について」と題する意見書をまとめ、文部科学省の森晃憲・高等教育局私学部長に提出した。意見書は内閣官房の「地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」が昨年12月22日、地方国立大学の特例的な定員増を提言する「取りまとめ」を公表。それを受けて文科省の中央教育審議会大学分科会が、魅力ある地方大学の実現に資する地方国立大学の特例的な定員増について高等教育政策の見地から検討、同省で定員増の要件の検討が進められているのを受けて、地方創生に努力してきた私立大学の立場から意見を述べたもの。その中では、「我が国における高等教育の『グランドデザイン』というマクロ的な視点を欠くなかで、地方国立大学の定員増がなし崩し的に進められていくのは、誠に遺憾と言わざるを得ない」と指摘。また「地方国立大学の定員増は私立大学や公立大学にも多大な影響をもたらす重要課題であり、まずは中教審で国立大学全体の役割・使命および費用対効果、適正な定員規模を議論するなかで検討されるべき課題」とし、「拙速な地方国立大学の定員増はこれまで地域創生を進めてきた私立大学の努力を水泡に帰しかねないばかりか、経営を圧迫し、多様な価値追求に基づく教育を地方から奪いかねない」などと危惧。大学分科会も指摘するように「極めて限定的かつ特例的」な制度設計とすべきで、定員増の対象を社会人枠に限定することも考えられるとし、そうした社会人のリカレント教育も私立大学が全く対応できない地域に限定するべきだ、としている。


 さらに最後に、「地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」の取りまとめでは、わが国の大学の約8割、学部学生の約8割を占める私立大学、特に地方私立大学に対する支援策には全く言及されていないことから、今後、政府においては、わが国の高等教育の全体および現状を俯瞰しつつ、その基本的な在り方をはじめ、特に私立大学に対する積極的な支援策も講じて国公私立大学全体で地方創生の実現を目指していくことを期待している。「地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」に示された資料によると、今年夏頃に大学・自治体・産業界で地方創生に資する国立大学の定員増について検討、申請。文科省の審査会による審査が行われるが、内閣官房、「地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」もその適否について判断する。組織改編等を伴わない最速の場合、地方国立大学の定員増は令和4年度から実施の見通し。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞