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記事2021年5月23日 2544号 (2面) 
第11期中教審大学分科会開く
ニューノーマルにおける大学教育と教職員の在り方など審議
魅力ある地方大学の在り方も、私大支援につながるか

 今年3月に第11期中央教育審議会が発足して以降、初めての大学分科会(通算では第160回)が4月28日、WEB会議方式で開催された。


 会議冒頭、非公開で分科会長の選任等が行われ、分科会長には前期に続き永田恭介・筑波大学長(一般社団法人国立大学協会会長、中教審副会長)が選任された。また文部科学省から、大学分科会の下に「質保証システム部会」「大学院部会」「法科大学院等特別委員会」「認証評価機関の認証に関する審査委員会」を設置する案、分科会や部会等の検討事項案が説明され了承された。


 第11期の大学分科会としては、(1)「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」(平成30年11月26日)のフォーロアップ、(2)「教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について〜教育研究機能の高度化を支える教職員と組織マネジメント〜(審議まとめ)」(令和3年2月9日)を踏まえたニューノーマルにおける大学教育と教職員の在り方、(3)魅力ある地方大学の在り方について審議していく。


 また「質保証システム部会」では、大学等の設置基準、設置認可審査、認証評価制度、情報公開の在り方等を一体とした質保証システムの見直し、ニューノーマルにおける大学教育の質保証の在り方を、「大学院部会」では第10期大学院部会の審議を踏まえた省令改正の検討、ウィズコロナ、ポストコロナ社会を見据えた大学院における教育研究の在り方、博士課程修了者のキャリアパスの拡大を審議する。さらに「法科大学院等特別委員会」では、「法学未修者教育の充実について第10期議論のまとめ」を踏まえた法学未修者教育の充実に係るさらなる検討、法学部と法科大学院が連携して行う新たな5年一貫教育制度の着実な実施に向けた検討を進め、「認証評価機関の認証に関する審査委員会」は申請に応じて評価機関の認証に係る調査審議を行う。


 高等教育に関しては、菅総理が開催する教育再生実行会議もニューノーマルにおける大学の姿やグローバルな目線での新たな高等教育戦略、学事歴、修業年限の多様化・柔軟化、社会との接続の在り方、リカレント教育、遠隔・オンライン教育実施のための抜本的なハード整備や受講環境整備のための財政支援などが議論されており、間もなく第12次の提言をまとめる予定。永田大学分科会長は魅力ある地方大学づくりについて、「一極集中が進み過ぎている日本においてDXが進む中で分散型社会の実現が求められている。各地方で中核をなすのが大学。地方大学の振興を是非話し合っていきたい」などと審議開始を前に自身の思いなどを語った。地方大学の振興に関しては、文科省内に地方大学研究振興タスクフォース(事務局:科学技術・学術政策局産業連携・地域支援課)が4月28日には第4回会議を開いているが、地域の私立大学に公的支援が今以上に届くかは見通せない状況。


 この後、各委員が自己紹介を兼ねて発言したが、「質保証の基本の基本は変わらない。オンライン授業の精査、新しい設置基準の検討が必要」「全ての大学を対象にした議論は困難。規模、特質を考慮した議論が必要で、研究至上主義の教員の意識改革が必要」「学位人材がグローバルスタンダードになっていない」「単位、卒業単位をどうするのか。施設の在り方もオンライン授業で変わってくる。部会でいろいろな問題が出てくるので分科会にフィードバックしたい」などの意見が聞かれた。


第11期中教審初の大学分科会

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