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記事2021年6月3日 2546号 (1面) 
規制改革推進会議が答申まとめる
大学、高校の設置基準見直し求める
特別免許状の授与拡大も

 内閣総理大臣の諮問機関である「規制改革推進会議」(議長=小林喜光・株式会社三菱ケミカルホールディングス取締役会長)は6月1日、「規制改革推進に関する答申〜デジタル社会に向けた規制改革の「実現」〜」をまとめた。答申の総論では、「わが国経済の成長力を将来にわたって維持・強化するにはグローバル化・デジタル化への対応に遅れがあってはならない。規制改革では、経済成長を阻害する規制・制度を見直すだけではなく、イノベーションを促す成長加速型の規制・制度への変革が求められる」とし、行政や事業活動、教育、医療などのデジタル化の遅れを強調した。その中で教育に関しては、デジタル技術の活用を前提として、社会変化に即応した柔軟なカリキュラムの編成、多様な専門分野を持つ教師の登用、オンラインと通学を組み合わせた最適な学び方の実現等により児童・生徒・学生にとって最良の教育環境を一刻も早く実現する必要があると訴え、大学・高校の設置基準の見直しを求めている。具体的には、大学設置基準等の見直しについては、コロナ禍の中でオンライン授業の普及・利用状況を踏まえ、また大学に今後期待されるリカレント教育の実施に向けた社会人の利便性等の観点から、校地・校舎面積の物理的空間としての規制、例えば校舎等施設、校地の面積、運動場等の基準について大学の独自性を考慮した上で、柔軟に対応できるよう見直しを実施すること、大学設置基準における体育館を始めとした施設の設置義務等の妥当性について検討し、見直すとともに、必ずしも「紙の本」の図書館や教員の個室は必要ない点と併せて周知するよう求めている。更に卒業に必要な単位を修得した場合には4年未満でも卒業できるように見直しを求めており、令和3年度中に検討し結論を得しだい速やかに措置するよう求めている。


 一方、高校の設置基準等の見直しについては、全日制・定時制と通信制のそれぞれの長所を活かしながら教育現場の独自性が活かされるようにすべきだとして、校舎の面積、運動場の面積、校舎に備えるべき施設、その他の施設(体育館)について各要件の根拠を明確にするとともに、今の時代に即した抜本的な見直しを行うとしている。


 これについては令和3年度中に検討し結論を得しだい速やかに措置すること、としている。さらに多様な外部人材を教師として登用する際の「特別免許状」について、その数は年間200件程度にとどまっていることから、特別免許状の授与に係る指針を改訂し、通年の申請を可能として取得までの時間の短縮を各県教委に要請すること、特別免許状取得者が教員数の2割を超えるときの3年以上の勤務経験要件の廃止、教育委員会ごとの審査基準が不明確であることを踏まえ、基準の明確化・透明化などの取り組みを求めている。

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