こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2021年9月23日号二ュース >> VIEW

記事2021年9月23日 2556号 (1面) 
こども政策の推進に係る有識者会議発足
内閣官房 こども政策の基本的理念や新行政組織基本方針等検討
年内には取りまとめ

 子ども庁の創設を求める提言が自由民主党の有志議員から4月に菅総理に提出されているが、政府は今年の「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)に基づき、子供を産み育てやすい環境の整備を加速化するとともに、子供の命や安全を守る施策を強化し、子供の視点に立って、子供を巡る様々な課題に適切に対応するためのこども政策の方向性について検討を行うため、9月7日、「こども政策の推進に係る有識者会議」の設置を決め、9月16日、オンラインで第1回会議を開催した。同会議の座長は清家篤・日本私立学校振興・共済事業団理事長(慶應義塾学事顧問)で、同会議の構成員は6人、臨時構成員は18人の計24人。臨時構成員には大学の教授ら研究者に加え、子供や若者の成長等を支援するNPO法人等の代表ら社会実践家が多数参加している。


 会議は内閣官房長官の下に開催される。会議の模様は原則非公開。議事録を速やかに公開することにしている。 


 9月23日時点で議事録は公開されていないが、初会合では会議事務局(内閣官房)が同会議の開催要領や運営、主な検討事項例を説明。 


 その後、構成員からの報告、臨時構成員によるプレゼン、意見交換が行われた。 


 この中で会議事務局は主な検討事項例として、▽こどもの視点に立った政策の推進、▽安心して妊娠・出産、子育てができる環境整備、▽年齢による切れ目や省庁間の縦割りを排し、各ライフステージに応じた切れ目のない対応、▽就学時等に格差を感じさせない等の教育と福祉の連携、▽子供の命や安全・安心の確保、▽こどもの健全育成の推進、▽障害や困難を抱えるこどもや家庭への支援等が抜け落ちることのない体制の構築、▽児童虐待や重大ないじめ・自殺、不登校への対応の強化、こどもの貧困の解消、▽こどもをわいせつ行為から守る環境整備、▽データ・統計の充実活用、を挙げている。 


 また、構成員からの報告では、政府の子ども・若者育成支援推進本部(本部長=内閣総理大臣)の下に設けられている、「子供・若者育成支援推進のための有識者会議」の座長の古賀正義・中央大学大学院教授が同会議における審議状況等について報告。また政府の「子供の貧困対策に関する有識者会議」で座長を務める宮本みち子・放送大学名誉教授が政府による子供の貧困対策の実施状況、子供の貧困に関する様々な指標、貧困状態の子供の支援のための教育・福祉等のデータベースの構築に向けた研究会等を報告した。 


 さらに文部科学省の中央教育審議会の副会長・初等中等教育分科会長を務める荒瀬克己・独立行政法人教職員支援機構理事長が中教審における審議状況、具体的には、「令和の日本型学校教育」の実現に向けた取り組み、第3次学校安全の推進に関する計画の策定に関する審議状況、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の審議状況等を報告した。 


 続いて内閣府の「子ども子育て会議」の会長を務める秋田喜代美・学習院大学教授が子ども・子育て会議のこれまでの取り組みと今後の課題について報告した。 


 このうち課題については人口減少が本格化する中での幼児教育・保育施設とその支援の在り方、保育の質の向上及び処遇改善、地域や家庭環境による格差の是正、幼保小の接続の強化、安定財源の確保を挙げている。 秋田喜代美氏はまた、厚生労働省の「社会保障審議会児童部会」の部会長も務めていることから同部会の審議の状況等を報告した。 


 一方、臨時委員からは土肥潤也・NPO法人わかもののまち事務局長が子ども・若者の社会参加をめぐる現状と課題、子ども・若者の参画政策を推進する上での提言等を報告。 


 続いて櫻井彩乃・Torch for Girls代表、#男女共同参画って何ですか代表が、子ども・若者が安心・安全に育つために必要なことなどについて語った。 


 また川瀬信一・一般社団法人子どもの声から始めよう代表理事が子どもの権利擁護の始点に子供の声を置くことの重要性等を説明した。 


 政府では、こども政策を総合的かつ包括的に推進するため、今年年末までに政府一丸となって取り組んでいく「こども政策」の基本理念や、新たな行政組織に関する基本方針を取りまとめることにしている。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞