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記事2021年9月23日 2556号 (2面) 
世界と伍する研究大学実現制度改正等検討会議
新たな大学制度 特定研究大学(仮称)を創設
ガバナンスや規制緩和など検討

 文部科学省の「世界と伍する研究大学の実現に向けた制度改正等のための検討会議」の第1回会議が9月7日にWEB会議方式で開かれた。委員は9人、座長は金丸恭文・フューチャー株式会社代表取締役会長兼社長。 


 同検討会議は、今年3月、世界と伍する研究大学を実現するために必要な制度改革および大学ファンド(10兆円規模)に係る制度について調査・検討を行うため、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の下に設けられた「世界と伍する研究大学専門調査会」が7月27日に「世界と伍する研究大学の在り方について」と題する中間とりまとめを策定。その中で実際の制度改正等の在り方については関係府省庁で検討を行い、同専門調査会の最終とりまとめに反映するとされたのを受けて文科省に同検討会議が設けられたのもの。 


 同検討会議では、(1)世界と伍する研究大学の実現に向けた制度改正(新たな大学制度「特定研究大学制度(仮称)」の構築、世界と伍する研究大学におけるガバナンス、世界に伍する研究大学に係る規制緩和等)、(2)国立大学法人のガバナンス改革・規制緩和の推進について審議する。11月25日の第4回会議で同検討会議としての取りまとめをし、内閣府専門調査会に報告、来年の通常国会に関連法案が提出される予定。世界に伍する研究大学のための10兆円の基金については既に半分が確保されており、ファンドの実際の運用は今年度中にスタートする予定。 


 この日の会議では内閣府から同専門調査会の審議状況や今後のスケジュール等が、また文科省から「特定研究大学制度」との新たな大学制度を構築することなどが報告された。同制度は国公私立にまたがる制度としているが、検討会議での委員の発言はおおむね国立大学法人を念頭に置いた内容が目立っている。特定研究大学に対しては国が関与する仕組み(アドバイザリーボード=仮称)を設置、独自のガバナンス、多様な財源の確保、優秀な研究人材の確保などのために必要な措置を講じることにしている。ガバナンスに関しては、文科省は経営に責任を負う者と教学に責任を負う者の役割分担を基本とし、中長期的な成長戦略に関する意思決定機能や経営監督機能を強化する観点から経営面における重要事項を議決する合議体を設置すること、財務・金融に関する専門性を有する者が経営において重要な役割を果たせるよう、事業財務担当役員(CFO)を設置することを提案した。 


 こうした提案に委員から複数の質問、意見が出されたが、委員の一人からは、「10兆円のファンドについては毎年3%の収益(3千億円)が期待されている。特定研究大学に仮に10校が指定された場合、1年に300億円の資金が入ってくる。この機会になかなか進まなかった大学改革や研究力強化をどんどん進めようというのがそもそもの狙い。間違っても第2の運営費交付金のように使われては困る」といった意見が聞かれた。また大学ファンドの運用を担当する国立研究開発法人科学技術振興機構の濱口道成理事長も「第2の運営費交付金にならないような制度設計にしてほしい」と要望した。 


 文科省の研究振興局長からは日本の大学全体の研究力の向上には地域の中核的な拠点となり得る大学など裾野の広い取り組みが必要との考えも示されたが、内閣府の専門調査会ではファンドの支援対象の層(数)、支援期間、支援規模等は9月以降に審議を進めることにしている。文科省の次回会議は10月14日。


第1回世界と伍する研究大学実現検討会議

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