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記事2022年1月23日 2567号 (1面) 
文科省通信制高校の在り方会議開催
通信制高と関連団体から現状等を聴取
広域は拡大、公立は減少傾向

 文部科学省の「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議(座長=荒瀬克己・独立行政法人教職員支援機構理事長)は1月19日、第5回会議をオンラインで開催した。この日は通信制高校の現状と取り組み等について、(1)北海道に本部を置き、全国45都道府県(60のサテライト施設)で1万1千人以上の生徒を対象に教育を展開するクラーク国際記念高校、(2)一定の要件を満たした通信制課程を設置する高校が集まり組織する全国高等学校通信制教育研究会(略称:全通研)から聞き取り調査を行った。


 クラーク国際記念高校に関しては、保志悦宏・東京キャンパス長が説明した。関東1都3県の面接指導施設(9キャンパス)に在籍する生徒数は昨年12月末時点で3652人(毎日通学する全日型2654人、オンライン学習と対面授業のオンライン通学829人、自学自習の在宅169人)で、そのうち新入学が77%、転編入学は23%。


 また新入生925人のうち全日型が90%の825人を占め、不登校経験者520人のうち毎日通学する全日型に89%が在籍していること、最大6段階の習熟度別授業、eスポーツ、ロボティクス、ペット生命科学、美術デザイン、保育・福祉、食物・栄養、総合進学等の特化型コース授業(キャンパスにより設置コースが異なる)、探求型の授業等で、全日型では59・4%の生徒が大学・短大に、25・8%が専門学校に進学。就職は4・0%、その他は9・9%と高い進学率となっているが、在宅の生徒に関しては浪人などその他との進路が44・6%となっていることなどを説明した。


 一方、全通研に関しては村越和弘事務局長が、都道府県教育委員会による研修がなく、通信制高校を卒業した教員・指導主事がいないため通信制教育を理解していない教員が少なくないこと、公立高校は1県に1〜3校しかないため学校間の情報交換ができないなどの課題を指摘。また私立も一部加盟しているものの公立の通信制課程の生徒数の減少から全通研の加盟校の生徒数が減少、厳しい財政事情を抱えていることなどを報告した。


 こうした報告に同会議委員からは、クラーク国際高校に対して「不登校の経験がありながら200日間学校に通える要因は何か」(回答:教員が心理学の理論に基づいて接しているのが大きい)、「在宅の生徒に探求型授業をどう進めているのか」(回答:十分な学習の場を提供できていない)などの質問があった。


 また現状の改善策を尋ねられた全通研事務局長は「加盟校の疑問を文科省に回答いただいていて、それをまとめればスタンダードになると考えたが、できなかった。人事異動のたびにゼロからのスターとなる。公的機関による研修は必要だ」などと語った。


  同会議は2月以降も通信制高校の現状把握のため通信制高校と関係団体からヒアリングを行っていく方針。


 同会議の次回開催は2月21日の予定。



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