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記事2022年4月13日 2575号 (1面) 
教育未来創造会議第3回WG開催
私大協、全専各連から意見聴取
論点整理案などの検討も

 政府の教育未来創造会議(議長=岸田文雄・内閣総理大臣)の第3回ワーキング・グループ(清家篤座長=日本私立学校振興・共済事業団理事長、以下、WG)が3月16日に開かれ、このほど議事録が公開された。


 この日の議題は、(1)大学等の機能強化、学びの支援、リカレント教育について、日本私立大学協会、独立行政法人国立高等専門学校機構、全国専修学校各種学校総連合会の3団体からのヒアリング、(2)学びの支援の充実/学び直しの促進に向けた論点についての議論、(3)WGの論点整理案についての議論。このうち(1)のヒアリングでは、初めに私大協会の小林弘祐・北里大学理事長が私立大学の振興を大学政策の中心に据える「高等教育政策の構造的大転換(パラダイムシフト)の実現」と題して、重点分野への再編の障壁となりやすい新規雇用専任教員について兼務を認めることについて、国公立と私立さらには企業との壁を越えた兼務の在り方について社会保障制度の設計も併せた検討などを要請。国立高専機構の谷口功理事長は施設・設備の老朽化解消や充実した経済的支援により学生の学びたい気持ちを応援していく重要性等を説明、一層の支援を要請した。全専各連の千葉茂副会長は、専門学校は企業の声や社会のニーズに迅速に対応しながら人材育成を推進していること、リスキリングが専門学校の非常に有効な部分になるなどと語り、高等教育の修学支援新制度の拡充による中間所得層への支援優先、バウチャー制度の検討などを提案した。


  (2)は、会議事務局(内閣官房)が深堀して議論を求めている事項で、既存の修学支援新制度や貸与型奨学金への評価、大学卒業後の所得に応じた「出世払い」での奨学金返還(HECS)や、学び直しを促進するための論点、職場を離れてリカレント教育を受けた者が円滑に職に戻るための支援、受講する社員への経済的支援や休業・休暇制度の導入などの40項目近い論点を挙げている。こうした提案に同会議構成員からは「HECSは大変結構だと思うが、給付型の奨学金が縮小されないように願いたい」「日本が強化したいと考えている特定分野への特待生制度、女子枠、地域枠での強化ということも踏まえてもいいか、と考えている」「(リカレント教育に関しては)会社で強制的に長期休暇を取らざるを得ないような仕組みが重要だ」などといった意見が出された。(3)WGの論点整理案は大きく分けて背景、基本的考え方、具体的方策で構成されており、具体的方策ではわが国の成長に向けた大学等の再編促進と産官学連携の強化、学部・大学院を通じた文理横断教育の推進と卒業後の人材受け入れ強化、女性の活躍推進、グローバル人材の育成強化、デジタル技術を駆使したハイブリッド型教育への転換、大学法人のガバナンス強化、初等中等教育の充実を柱に、検討の方向性等を挙げている。この中では初等中等教育も取り上げており、課題発見・解決を他者と協働しながら行っていくための基礎力の育成、文理横断的な入学者選抜への転換と併せて高校段階における早期の文理分断からの脱却を課題に挙げている。論点整理案については、3月30日に開かれた第2回教育未来創造会議でWGでの意見を踏まえて議論を行っており、経済産業省や厚生労働省も取り組みなどを報告している。

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